平成23年3月31日まで実施猶予が再延長された出産育児一時金の直接支払制度

再延期された出産育児一時金の直接支払制度 平成21年10月から妊婦等の経済的負担を軽減する観点から導入された出産育児一時金の直接支払制度ですが、その導入日直前に当面の準備が整わないなど、どうしても対応が困難な医療機関については、昨年度に限り、例外的にその適用を猶予が猶予されていました(2009年9月30日のブログ記事「10月1日スタートの出産育児一時金の直接支払制度 一部の医療機関では適用が延期に」を参照)。この取扱いについては、平成22年度から全面的な実施が予定されていましたが、先日、厚生労働省より発表があり、平成22年4月からも全面的な実施は見送られ、平成23年3月末まで実施猶予が再延長されています。

 これにより、4月以降の対応は以下のようになっています。
【実施猶予の延長】
平成23年3月31日まで一年間延長する。
実施猶予医療機関において、出産費用をあらかじめ用意できない等により、支払が困難な妊婦に対しては、以下のいずれかの措置を講ずる。
(1)個別に直接支払制度に対応する。(医療機関の判断により、妊婦が出産育児一時金を受け取るまで支払いを待つことでも可)
(2)保険者による出産費用の貸付や、都道府県社会福祉協議会による生活福祉貸付を受けられるよう、制度の説明や申請の支援等の便宜を図る。
※直接支払制度に対応していない旨の院内掲示と、制度に対応していない旨を説明し、妊婦の合意を得ることについては、これまでと同様。

【医療機関の資金繰りへの支援】
支払の早期化を図るため、正常分娩について、磁気媒体での請求については、現行月1回の請求・支払を月2回とする(実施時期調整中)。
国保中央会において磁気請求に必要なソフトを作成し、ホームページ上でダウンロード可能とする。
福祉医療機構における出産育児一時金等の制度改正に伴う経営安定化資金の融資について、次の条件緩和を行う予定。
・貸付金利について、資金調達方法の見直しにより、現行金利より更に引き下げる。
・無担保融資限度額(3000万円)を廃止するとともに、担保を提供していただける場合には、若干の金利を上乗せし保証人を免除する貸付制度を開始する(個人事業主の場合には、担保が無い場合でも免除可能)。

 全国健康保険協会では、無利子の出産費貸付制度も行っているため、このような制度の積極利用も考えられます。今後、この問題や平成23年3月31日までの間の出産に関しては暫定的な措置として出産育児一時金が4万円引上げられていることも含め、23年度以降の措置について検討が行われる予定になっています。


関連blog記事
2009年9月30日「10月1日スタートの出産育児一時金の直接支払制度 一部の医療機関では適用が延期に」
https://roumu.com
/archives/51628810.html

2009年9月28日「資格喪失後の給付としての出産育児一時金の直接支払制度利用」
https://roumu.com
/archives/51623753.html

2009年9月14日「廃止となる出産育児一時金の受取代理制度」
https://roumu.com
/archives/51617428.html

2009年9月14日「「出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度」事務フロー概要」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50531839.html
2009年9月11日「「出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度」実施要綱」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50531834.html
2009年9月10日「平成21年10月1日から変更となる出産育児一時金のQ&A」
https://roumu.com
/archives/51617386.html

2009年9月10日「出産育児一時金 制度の見直しの概要」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50531831.html

 

参考リンク
厚生労働省「出産育児一時金についての重要なお知らせ」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken09/07-1.html
全国健康保険協会「出産費貸付制度」
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/8,2533,25.html

(宮武貴美)

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