厚労省 厚生年金基金制度廃止の方向性を確認
AIJ問題以降、厚生年金基金制度の見直しに関する議論が進められていますが、先週金曜日に厚生労働省内部に設置された「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する特別対策本部」の第7回が開催されました。各種報道にもあったとおり、この中で厚生年金基金制度を10年程度の経過期間を置いた上で廃止するという方針が確認されました。
当日は以下の事項が決定されています。
厚生年金基金の代行制度については、他の企業年金制度への移行を促進しつつ、一定の経過期間をおいて廃止する方針で対応する。
今後、持続可能で、中小企業などが加入しやすい企業年金を構築するための施策を積極的に推進する。
「代行割れ問題」への対応として、「連帯債務問題」や「債務額の計算方法」など、特定解散制度の見直しをはかる。
本年10月中に社会保障審議会年金部会の下に専門委員会を設置し、同委員会に厚生労働省の「厚生年金基金制度改革試案」を提示し、同案に対する検討を行い、年内を目途に年金部会としての成案を得る。
同成案に即した法制化作業を進め、次期通常国会における厚生年金基金制度改革のための法案提出を目指す。
厚生労働省は、この方向性に基づき、10月中に社会保障審議会年金部会の下に専門委員会を設置し、「厚生年金基金制度改革試案」を提示した上で、年内を目途に年金部会としての成案を作成し、次期通常国会に法案の提出を目指すとしています。もっとも現実的には比較的健全な運営が行われている基金も少なくないことから、一律での制度廃止には異論が出る可能性が高いこと、また特例解散制度の見直しについてもそこに基金に加入していない厚生年金被保険者の保険料を投入することの是非など反対意見も多く出ることは不可避であることから、法案成立までには更に多くの議論が求められることでしょう。
関連blog記事
2012年7月3日「解散要件の緩和を含む厚生年金基金代行割れ問題に対する厚労省報告書」
https://roumu.com
/archives/51939768.html
2012年5月17日「AIJ問題により議論が進められる厚生年金基金の運用等に関する規制」
https://roumu.com
/archives/51930499.html
参考リンク
厚生労働省「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する特別対策本部(第7回)について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002kpls.html
(大津章敬)
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