通達で示された社会保険適用拡大後の「4分の3基準」取り扱い

通達 昨日のブログ記事「必見!ついに公開されたパートタイマーへの社会保険適用拡大のQ&A」では、日本年金機構から公開された社会保険適用拡大のQ&A等をご紹介しましたが、厚生労働省からは2016年5月13日付けで、厚生労働省保険局保険課長から健康保険組合理事長に宛てた通達「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大に係る事務の取扱いについて」(保保発0513第2号平成28年5月13日)が発出されています。

 この通達の中では、現在のパートタイマーの社会保険加入の基準となっている昭和55年6月6日付け厚生省保険局保険課長・社会保険庁医療保険部健康保険課長・社会保険庁年金保険部厚生年金保険課長内かんが、平成28年10月1日以降、廃止されることのほか、新たに法律で定められた「1週間の所定労働時間及び1月間の所定労働日数が、同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間及び1月間の所定労働日数の4分の3以上」が健康保険・厚生年金保険の被保険者になるという基準(いわゆる4分の3基準)についての取得基準が示されています。

 4分の3の基準については、以下のように示されており、2.に記載されているように、所定労働時間や所定労働日数が、実際の労働時間や労働時間に乖離が見られる場合の取扱いにも触れられています。
1週間の所定労働時間及び1月間の所定労働日数の取扱い
 1週間の所定労働時間及び1月間の所定労働日数とは、就業規則、雇用契約書等により、その者が通常の週及び月に勤務すべきこととされている時間及び日数をいう。
所定労働時間又は所定労働日数と実際の労働時間又は労働日数が乖離していることが常態化している場合の取扱い
 所定労働時間又は所定労働日数は4分の3基準を満たさないものの、事業主等に対する事情の聴取やタイムカード等の書類の確認を行った結果、残業等を除いた基本となる実際の労働時間又は労働日数が直近2月において4分の3基準を満たしている場合で、今後も同様の状態が続くことが見込まれるときは、当該所定労働時間又は当該所定労働日数は4分の3基準を満たしているものとして取り扱うこととする。
所定労働時間又は所定労働日数を明示的に確認できない場合の取扱い
 所定労働時間又は所定労働日数が、就業規則、雇用契約書等から明示的に確認できない場合は、残業等を除いた基本となる実際の労働時間又は労働日数を事業主等から事情を聴取した上で、個別に判断することとする。

 ここで言う「残業等」といった表現がどの労働時間等を指すのか、解釈が分かれそうですが、実態も把握した上で取得の基準について判断が行なわれることになるでしょう。なお、所定労働時間が週20時間かどうかという部分についても似通った表現で通達に示されています。
↓「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大に係る事務の取扱いについて」(保保発0513第2号平成28年5月13日)のダウンロードはこちらから
http://www.lcgjapan.com/pdf/part20160513.pdf
※通達は厚生労働省から提供を受けたものになります


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2016年5月17日「必見!ついに公開されたパートタイマーへの社会保険適用拡大のQ&A」
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2016年3月22日「確認しておきたい今年10月に行われる健康保険扶養家族要件の変更」
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2014年3月31日「大きな保険料負担となるパートタイマーへの社会保険加入拡大」
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2016年1月8日「4月から引上げられる健康保険の標準報酬月額とその実務対応」
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(宮武貴美)
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