法改正に伴い変更される社会保険4分の3要件の判断基準

社会保険4分の3要件 平成24年に成立した「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」(年金機能強化法)が今年(2016年)10月に施行され、いよいよ大企業よりパートタイマーに対する社会保険の適用が拡大されます。施行にあたって、社会保険料の負担が急増する企業もあり、具体的対応を検討しているところもあることでしょう。

 これまでパートタイマーの社会保険適用は、昭和55年6月6日付けの内かんにより、いわゆる正社員の4分の3の労働日数・労働時間があるか否かにより判断が行われてきました。これが年金機能強化法の施行により、労働時間が正社員の労働日数・労働時間の4分の3未満であっても以下の4つの要件をすべて満たしたパートタイマーも社会保険に加入することになっています(ただし、学生は除く)。
週所定労働時間が20時間以上
賃金が月額88,000円以上
勤務期間が1年以上
従業員501人以上の規模である企業に使用されている

 この年金機能強化法の施行に際し、細かな点ですが、実は「4分の3」の要件を判断するときの基準が若干変更になっています。具体的には、現状は、1日または1週間の労働時間と1ヶ月の労働日数で判断されていますが、10月からは1週間の所定労働時間と1ヶ月の労働日数で判断することになります。このため以下のような勤務の場合、現状と施行後で社会保険に適用となる人に違いが出てきます。
条件
 正社員:1日8時間、1週4日
 パート:1日6時間、1週3日
現状
 1日6時間→4分の3以上 月間12日→4分の3以上 ・・・社会保険適用
施行後
 1週18時間→4分の3未満 月間12日→4分の3以上 ・・・社会保険適用せず
 ただし、法律施行時に社会保険の適用となっている人については、資格喪失を行わず、引き続き被保険者とされることになっています。該当するケースは多くないとは思いますが、しっかりと適用要件を確認しておきましょう。

<参考:現状有効となっている内かん>
 1日又は1週の所定労働時間及び1月の所定労働日数が当該事業所において同種の業務に従事する通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上である就労者については、原則として健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取り扱うべきものであること。

<施行される法律>
 事業所に使用される者であって、その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第2条に規定する通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である同条に規定する短時間労働者又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者に該当し、かつ、イからニまでのいずれかの要件に該当するもの
イ 1週間の所定労働時間が20時間未満であること。
ロ 当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれないこと。
ハ 報酬について、厚生労働省令で定めるところにより、第22条第1項の規定の例により算定した額が、88,000円未満であること。
ニ 学校教育法第50条に規定する高等学校の生徒、同法第83条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。


関連blog記事
2014年3月31日「大きな保険料負担となるパートタイマーへの社会保険加入拡大」
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/archives/37982986.html
2012年8月17日「パートタイマーへの社会保険 500人超企業は平成28年10月より適用拡大」
https://roumu.com
/archives/51948026.html

参考リンク
厚生労働省「年金制度の改正について(社会保障・税一体改革関連」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/topics/2012/tp0829-01.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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