賃金請求権時効を5年(当面3年)に延長する法律案要綱の答申が行われました

 厚生労働大臣が、2020年1月10日に、労働政策審議会に諮問した「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」について、労働政策審議会の労働条件分科会で審議が行われた結果、同日、同審議会から厚生労働大臣に対して答申が行われました。その内容は以下のとおりとなっています。
(1)労働者名簿等の書類の保存期間の延長
 労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類(以下「労働者名簿等」という。)の保存期間について、5年間に延長することとすること。

(2)付加金の請求を行うことができる期間の延長
 付加金の請求を行うことができる期間について、違反があった時から5年に延長することとすること。

(3)賃金請求権の消滅時効期間の見直し等
 賃金(退職手当を除く。)の請求権の消滅時効期間を5年間に延長するとともに、消滅時効の起算点について、請求権を行使することができる時であることを明確化することとすること。

(4)経過措置
 (1)から(3)までによる改正後の労働基準法第109条、第114条及び第115条の規定の適用について、労働者名簿等の保存期間、付加金の請求を行うことができる期間及び賃金(退職手当を除く。)の請求権の消滅時効期間は、当分の間、3年間とすることとすること

(5)施行期日等
■施行期日
 この法律は、民法の一部を改正する法律の施行の日(2020年4月1日)から施行すること。
■経過措置
 この法律の施行前に労働基準法第114条に規定する違反があった場合の付加金の請求期間及び賃金(退職手当を除く。)の支払期日が到来した場合の当該賃金の請求権の消滅時効の期間については、なお従前の例によることとすること。
■検討
 政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律による改正後の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること

 厚生労働省では、この答申を踏まえて法律案を作成し、20日より開幕する通常国会への提出の準備を進めることとなります。改めて適切な労働時間把握と確実な賃金支払いを進めましょう。

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参考リンク
厚生労働省「「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」の答申」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08856.html?fbclid=IwAR3keTBpweUa5B4ToVspyNRFf8gQQZGSVM5X3xF7_Q6axzBS4qqxH5kKaDY

(大津章敬)