65歳定年制導入、俸給の7割設定を中心とした国家公務員法等改正案の概要

 現在開催中の通常国会では、高年齢雇用安定法の改正が審議され、民間企業については2021年4月から70歳までの就業機会確保義務(当面は努力義務)が課せられる方向となっています。これに対し、国家公務員については2022年4月より8年間かけて、65歳定年の導入が進められる見込みとなっています。2020年3月16日にその法案が国会に提出されましたので、以下では概要について取り上げます。
1.定年の段階的引上げ
・現行60歳の定年を段階的に引き上げて65歳とする。(ただし、職務と責任の特殊性・欠員補充の困難性を有する医師等については、66歳から70歳の間で人事院規則により定年を定める)
現行 60歳
令和4年度~5年度 61歳
令和6年度~7年度 62歳
令和8年度~9年度 63歳
令和10年度~11年度 64歳
令和12年度~【完成形】 65歳
※定年の引上げに併せて、現行の60歳定年退職者の再任用制度は廃止
(定年の段階的な引上げ期間中は、定年から65歳までの間の経過措置として現行と同様の制度を存置)

2.役職定年制(管理監督職勤務上限年齢制)の導入
(1)組織活力を維持するため、管理監督職(指定職及び俸給の特別調整額適用官職等)の職員は、60歳(事務次官等は62歳)の誕生日から同日以後の最初の4月1日までの間に、管理監督職以外の官職に異動させる。
(2)役職定年による異動により公務の運営に著しい支障が生ずる場合に限り、引き続き管理監督職として勤務させることができる特例を設ける。

3.60歳に達した職員の給与
・人事院の「意見の申出」に基づき、当分の間、職員の俸給月額は、職員が60歳に達した日後の最初の4月1日(特定日)以後、その者に適用される俸給表の職務の級及び号俸に応じた額に7割を乗じて得た額とする。
※検討条項として、政府は、(1)60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう、国家公務員の給与制度について、人事院において公布後速やかに行われる昇任・昇格の基準、昇給の基準、俸給表などについての検討の状況を踏まえ、定年引上げ完成の前(令和12年3月31日まで)に所要の措置を順次講ずること、(2)公布後速やかに評語の区分など人事評価について検討を行い、施行日までに所要の措置を講ずること、を規定

4.高齢期における多様な職業生活設計の支援
(1)60歳以後定年前に退職した者の退職手当
・60歳に達した日以後に、定年前の退職を選択した職員が不利にならないよう、当分の間、「定年」を理由とする退職と同様に退職手当を算定する。
(2)定年前再任用短時間勤務制の導入
・60歳に達した日以後定年前に退職した職員を、本人の希望により、短時間勤務の官職に採用(任期は65歳まで)することができる制度を設ける。

5.その他
・検察官、防衛省の事務官等についても、同様に定年の引上げ等を行う。
・施行日:令和4年4月1日

 このように国家公務員については65歳定年の導入が始まります。民間企業については当面、定年引上げの予定はありませんが、高齢者の雇用および賃金のあり方について見直しが求められるタイミングとなってきています。


関連記事
2019年12月23日「大熊ブログ:今年の法改正と来年の法改正予定を確認しましょう」
https://roumu.com/archives/100159.html

参考リンク
内閣官房「国会提出法案(第201回 通常国会)」
https://www.cas.go.jp/jp/houan/201.html?fbclid=IwAR2vjUSQrauW_tLh4NSHVn5EDxCxl6yHzc6Aerrlh4NW8zsYSawAuS6x3pA

(大津章敬)