休業を行った翌月以降、注意したい平均賃金の計算方法

 新型コロナウイルスの影響で休業を行う企業が増えています。その際、その休業が使用者の責に帰すべき事由による休業であれば、平均賃金の6割以上の休業手当の支払いが求められます。平均賃金の計算は原則的に、過去3か月分の総支払賃金をその期間の暦日数で除することになりますが、休業を行った場合、休業手当として通常の賃金よりも低い金額しか支払われない場合、この原則計算ですと、平均賃金額がだんだん小さくなっていくという問題が起きます。

 そのため、休業手当の取り扱いを定める労働基準法12条3項および通達達によって、そうした場合の平均賃金計算方法が定められています。まず労働基準法では、使用者の責めに帰すべき事由によつて休業した期間については、その日数およびその期間中の賃金は、平均賃金の期間および賃金の総額から控除するとしています。

 また、休業の開始日から終了日までの間に、就業規則、労働契約等による休日が含まれている場合には、当該休日の日数は、休業した期間の日数に含め、期間より除外することとされています(平成22年7月15日 基発0715第7号)。

 今後、休業が長引くことでこの問題の増加が予想されますので、平均賃金を計算する際には注意するようにしましょう。

[関連条文]
労働基準法12条3項
 前二項に規定する期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前二項の期間及び賃金の総額から控除する。
一 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
二 産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間
三 使用者の責めに帰すべき事由によつて休業した期間
(以下、省略)

[関連通達]
平均賃金算定期間内における一部休業日の取扱い(労働基準法第12条関係)(昭和25年8月28日 基収2397号)
(問)
 平均賃金を算定すべき事由が生じた場合その算定期間中に一部休業即ち数時間労働した後使用者の責に帰すべき休業をした日があった場合平均賃金の算定に当ってはこの日を労働日として取扱うべきか否かによって算定方法が異るが次の何れによるべきものか。
一、 労働日であると解する場合
 イ、その日を労働日として算入しその日に支払われた賃金を算入し休業手当に該当する部分を除く。
 ロ、その日を労働日として算入しその日に支払われる賃金及び休業手当の合算額を算入する。
二、 その日に支払われた賃金が平均賃金の100分の60即ち休業手当額を基準としこれを超える場合は労働日とし、下る場合は休業日として計算する。
三、 休業日であると解する場合
 その日の労働に対して支払われた賃金が平均賃金の100分の60を超えると否とに拘らず一部休業があった場合はその日を休業日とみなしその日及びその日の賃金を全額控除する。
(答)
 貴見三の通り。

平均賃金算定期間中に使用者の責めに帰すべき休業期間があり、期間内に所定休日がある場合、休日も休業日数に含むか(労働基準法第12条関係)(平成22年7月15日 基発0715第7号)
(問)
 労働基準法第12条第3項第三号において、平均賃金の算定期間中に使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間がある場合は、その日数及びその期間中の賃金は、平均賃金算定の基礎となる期間及び賃金の総額から控除することとされているが、休業の開始日から終了日までの間に、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日が含まれている場合、当該休日の日数は、休業した期間の日数に含むものと解してよろしいか。
(答)
 貴見のとおり。
 なお、休業の開始日及び終了日は、当該休業に係る労使協定や就業規則の規定に基づく使用者の指示等により、個別の状況に応じて客観的に判断されるものであること。


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2020年3月30日「休業手当・平均賃金の計算方法を教えてください」
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(大津章敬)