本日(2020年6月1日)よりパワハラ防止措置の義務化を受けた精神障害の労災認定の基準が改正に
2020年5月13日の記事「パワハラ防止措置の義務化を受け、精神障害の労災認定の基準も一部見直しへ」でもお伝えした「心理的負荷による精神障害の認定基準」の改正ですが、2020年5月29日付で厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛てに通知がなされました。
この改正は、本日(2020年6月1日)からパワーハラスメント防止対策が法制化されることなどを踏まえ、先日取りまとめられた「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告を受けたもので、「パワーハラスメント」の出来事を「心理的負荷評価表」に追加するなどの見直しが行われています。以下、そのポイントを確認しましょう。
[改正の背景]
業務による心理的負荷を原因とする精神障害については、平成23年12月に策定した「心理的負荷による精神障害の認定基準について」に基づき労災認定を行っている。このたび、令和2年6月から施行されるパワーハラスメント防止対策の法制化に伴い、職場における「パワーハラスメント」の定義が法律上規定されたことなどを踏まえ、令和2年5月に取りまとめられた「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を受けて、認定基準別表1「業務による心理的負荷評価表」の改正を行った。
[改正のポイント]
これまで、上司や同僚等から、嫌がらせ、いじめ、暴行を受けた場合には、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」の出来事で評価していたが、「心理的負荷評価表」を次のように改正し、パワーハラスメントに関する事案を評価対象とする「具体的出来事」などを明確化したもの。
(1)「具体的出来事」等に「パワーハラスメント」を追加
・「出来事の類型」に、「パワーハラスメント」を追加
・「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」を「具体的出来事」に追加
【強いストレスと評価される例】
〇上司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合
〇上司等から、暴行等の身体的攻撃を執拗に受けた場合
〇上司等による、人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない精神的攻撃が執拗に行われた場合
〇心理的負荷としては「中」程度の精神的攻撃等を受け、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合
(2)評価対象のうち「パワーハラスメント」に当たらない暴行やいじめ等について文言修正
・「具体的出来事」の「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」の名称を「同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた」に修正
・パワーハラスメントに該当しない優越性のない同僚間の暴行やいじめ、嫌がらせ等を評価する項目として位置づける
【強いストレスと評価される例】
〇同僚等から、治療を要する程度の暴行等を受けた場合
〇同僚等から、人格や人間性を否定するような言動を執拗に受けた場合
今後の労災認定にも一定の影響を与えることになると予想されますので、「業務による心理的負荷評価表」などの確認をしておきましょう。
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2020年5月13日「パワハラ防止措置の義務化を受け、精神障害の労災認定の基準も一部見直しへ」
https://roumu.com/archives/102769.html
参考リンク
厚生労働省「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11494.html
(大津章敬)