新型コロナ失業者雇入れの助成金、出向者助成金の新設予定

 2020年12月16日の記事「出向により雇用維持する会社に支給される産業雇用安定助成金の概要(創設予定)」で取り上げたとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響が雇用環境にも大きな影響を与えている今、第三次補正予算により、新設予定とされる助成金があります。その概要が先日、パブリックコメントに付されました。

1.トライアル雇用助成金(新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース助成金)の新設
 当分の間、常用雇用(所定労働時間が週30時間以上)または常用雇用(短時間労働)(所定労働時間が週20時間以上30時間未満)へ移行することを目的に試行雇用する事業主に対し、トライアル雇用助成金(新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース助成金)を支給するものとする。
①対象
 2020年1月24日以降に新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされた者であって、離職期間が3ヶ月を超え、かつ、就労経験のない職業に就くことを希望する者
②助成額
 対象者一人当たり4万円/月(最大3ヶ月)(所定労働時間が週30時間以上)
 対象者一人当たり2.5万円/月(最大3ヶ月)(所定労働時間が週20時間以上30時間未満

2.産業雇用安定助成金の新設
・新型コロナウイルス感染症に伴う経済上の理由により、急激に事業活動の縮小を余儀なくされ、労働者の雇用を出向により維持するため、労働者を送り出す事業主および当該労働者を受け入れる事業主に対して、一定期間の助成を行うものとする。

①労働者(雇用保険被保険者)を出向により送り出す事業主および当該労働者を受け入れる事業主に対して、賃金、教育訓練、労務管理に関する調整経費等、出向中に要する経費の一部を助成する(上限額12,000円/日)。
【中小企業】
 ・出向元が労働者の解雇等を行っていない場合 9/10
 ・出向元が労働者の解雇等を行っている場合 4/5
【中小企業以外】
 ・出向元が労働者の解雇等を行っていない場合 3/4
 ・出向元が労働者の解雇等を行っている場合 2/3

②労働者(雇用保険被保険者)を出向により送り出す事業主および当該労働者を受け入れる事業主に対して、就業規則や出向契約書の整備費用、出向に際してあらかじめ行う教育訓練、出向先が出向者を受け入れるために用意する機器や備品等、出向に要する初期費用を助成する(出向元事業主・出向先事業主に支給)。
 ・助成額 各10万円/1人(定額)
 ・加算額(※) 各5万円/1人(定額)
 ※出向元事業主:事業活動の縮小規模が一定の基準を上回る事業主であること。
  出向先事業主:出向労働者を異業種から受け入れた事業主であること。

 パブリックコメントの締切日は、第三次補正予算の成立に合わせて公布・施行する必要があるために、2021年1月18日までと前倒しされています。公布日に施行される予定ですので、今後の情報に注目しましょう。


関連記事
2020年12月16日「出向により雇用維持する会社に支給される産業雇用安定助成金の概要(創設予定)」
https://roumu.com/archives/105433.html
参考リンク
パブリックコメント「雇用保険法律施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に関する意見の募集について」
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495200366&Mode=0
(宮武貴美)