2021年度創設予定の高年齢者の賃金引上げに対して支給される助成金
高年齢雇用継続給付は、2025年4月からその給付率が15%から10%に引き下げられることになっており、現状のままでは60歳から64歳までの高年齢者の実質的な手取り額は低下することが見込まれます。
そこで政府は、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を推進する等の観点から、60歳から64歳までの高年齢労働者の処遇の改善に向けて取り組む事業主に対し、高年齢労働者処遇改善促進助成金(仮称)を設けて支援する予定であることを公表しました。
この助成金は、雇用保険適用事業所であって、60歳から64歳までの高年齢労働者の賃金規定等を改定し、6ヶ月以上適用しており、当該事業所に雇用される労働者に係る高年齢雇用継続基本給付金の受給額が一定割合(賃金規定等改定前後を比較して95%)以上減少したときに支給がされるものです。
支給額は、当該事業所に雇用される労働者(申請対象期間の初日において雇用されている者に限る。)に係る、賃金規定等改定前後を比較した高年齢雇用継続基本給付金の減少額に、大企業は2/3、中小企業:は4/5の助成率を乗じた額です。
なお、この助成率は2022年度までの率であり、2023年度および2024年度は、大企業:1/2、中小企業:2/3とされる予定です。また、1回の申請の対象期間は6ヶ月とし、最大4回(2年間)まで申請可能。2回目以降も、初回の申請時に適用された助成率が適用される予定になっています。
2021年度当初予算案の国会成立後に創設予定とのことですので、正式な公表はこれからになりますが、高年齢者の賃金設計の見直しをしている企業は特にその内容に注視していきましょう。
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2021年2月1日「パブリックコメントにより明らかになった令和3年度の雇用関連助成金改廃の概要」
https://roumu.com/archives/106011.html
参考リンク
厚生労働省「高年齢雇用継続給付の改正と新助成金の概要について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000744250.pdf
(宮武貴美)