事業主への協力が呼びかけられる新型コロナ休業支援金・給付金

 1都3県緊急事態の解除について注目が集まっているところですが、緊急事態下では飲食業に対する時短要請等により、厳しい環境下に置かれている企業も多くあります。コロナ禍での休業は、会社が休業とした日について、従業員に休業手当を支払い、その日について雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を政府が支給することにより雇用の維持を支えてきました

 また、休業手当を受けることができない中小企業の従業員を中心に、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下、「支援金・給付金」という)として、従業員からの申請により、政府が直接、支援金・給付金を支給することで支援を進めてきました。しかし、支援金・給付金の申請は政府が想定する予算をかなり下回り、制度の周知が不十分であるという批判を受けています。

 そのため、厚生労働省は以下のような事業主への周知として以下の内容を含む文書を作成し、周知に努めています。

◆ 新型コロナウイルス感染症の影響により従業員を休業(シフト制で働く従業員の勤務時間や勤務日を削減した場合を含みます)させた場合、休業手当の支払いには、雇用調整助成金を活用できますので、これをご活用いただき、雇用の維持に努めていただくようお願いします。

◆ 一方、休業手当の支払いが困難な場合には、従業員の方が直接申請できる、厚生労働省から直接支給する「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下、「休業支援金」)があります。従業員への周知や申請に協力いただくようお願いします。
(中小企業については2020年4月以降の休業、大企業については2021年1月8日以降(2020年11月7日以降に時短要請等を発令した都道府県はその要請の開始以降)及び2020年4~6月の休業が対象です。)

◆ 申請にあたり事業主に協力いただくことは、休業の事実について確認するための書類の作成などで、金銭的な負担はありません。

◆ 従業員が休業支援金の支給申請やその相談をしたことのみを理由として、解雇や雇止め、労働条件の不利益変更等を行った場合、労働契約法に照らして無効となる場合等があります。

◆ 休業支援金の申請には期限があります。該当する方へは早めに周知いただくようお願いします。

 企業にとっては、従業員をさせて休業手当の支払い義務が生じるであろう日について、休業手当を支払っていないことを認めるようなものになるので、抵抗感があるかもしれませんが、従業員の生活の維持のためには、協力が必要な場面もあるのでしょう。詳細は参考リンクよりご確認ください。


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2021年2月26日「大企業のシフト等の非正規雇用者にも支給されることとなった休業支援金・給付金」
https://roumu.com/archives/106456.html
参考リンク
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.html
(宮武貴美)