中途採用強化のために今年度新たに取り組む事項のトップは「兼業・副業容認などの人事制度改革」

 2021年6月1日の記事「23.0%の企業が今年度の中途採用人数を増やすと回答」では、リクルートの「中途採用に関する人事担当者向け調査(2021)結果」から今年度の中途採用人数の見通しについて取り上げましたが、この調査はもう一つ興味深い内容が含まれています。

 それは、中途採用のために過年度までに取り組んだ人事施策と、2021年度に新たに開始したい取り組みです。それらの上位5つは以下のようになっています。
過去に一度でも実施した取り組み
64.7% 残業削減などの働き方改革
63.5% テレワーク導入など、働き方の柔軟性向上の工夫
33.8% 採用チャネルの拡大
29.7% 人事だけではなく、募集部門による 採用への関与
29.7% 兼業・副業容認などの人事制度改革

新たに開始したい取り組み
18.6% 兼業・副業容認などの人事制度改革
17.0% 新しい採用ブランディング施策の実施
15.8% 地域限定社員の導入
14.9% 職務内容・ポジンションの柔軟な提示
14.8% 転勤制度の見直し

 過年度のものは、法改正のタイミングでもあった働き方改革への対応と、新型コロナの影響で急速に普及したテレワークの導入が上位に来ていますが、今後については、「兼業・副業容認などの人事制度改革」がトップに来ており、いよいよ兼業・副業が本格的な普及期に入っていくことを予感させています。また新型コロナの影響によるワークライフバランスの意識が高まり、そしてテレワークの普及に影響を受けたであろう「地域限定社員の導入」や「転勤制度の見直し」も上位に入っています。転勤はこれまでの日本企業の常識でしたが、その常識も変わろうとしています。

 労働力人口の減少という事実はより深刻さを増し、人材確保が企業経営における最重要テーマの一つとなっていくことは確実です。安定的な人材の採用・定着・育成のための環境整備を進めていきましょう。


関連記事
2021年6月1日「23.0%の企業が今年度の中途採用人数を増やすと回答」
https://roumu.com/archives/107694.html

参考リンク
リクルート「中途採用に関する人事担当者向け調査(2021)結果」
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20210531_hr_01.pdf

(大津章敬)