1月から新様式になった協会けんぽの届出様式と受取代理人欄の削除

 協会けんぽでは、協会けんぽ内部のシステムの入れ替え等もあり、定期的に届出様式を見直しています。2022年7月7日の記事「来年の1月より協会けんぽの各種申請・届出書の様式が変更となります」でも取り上げたのですが、この2023年1月にも新しい様式へ変更となりました。新様式の運用はすでに始まっており、こちらからダウンロードできるようになっています。

 新様式の変更点はいくつかありますが、実務への影響が大きいものの一つとして、傷病手当金や出産手当金の様式から「受取代理人」の欄が削除されたことが挙げられると思われます。この受取代理人は、被保険者が、代理人が給付金を受領することを委任する「任意代理」として扱われてきました。そのため、旧様式には「本申請に基づく給付金に関する受領を下記の代理人に委任します。」という文言のもと、協会けんぽから代理人に対し給付金の支払いが行われてきましたが、健康保険法では被保険者へ給付金を支払うことが原則であることから、今回、原則に立ち戻って、被保険者への確実な給付金の支払いを行うため、給付金の振込口座は原則として被保険者のものに限られることになりました。

 ちなみに、受取代理人への支払いがなくなった背景には受取代理制度を悪用した不正受給が発生のしていたことがあるとされています。

 実務上、従業員の希望に基づき、会社が傷病手当金を受け取ったうえで、会社が立て替えている社会保険料や住民税等を控除した上で、従業員へ残金を振り込むといった手続きも一部で行われてきたかと思います。そのような場合には、今回の協会けんぽの取扱いを踏まえ、自社の対応を整理する必要があるのでしょう。

 なお、旧様式について、2023年1月以降も使用できるとされていますが、新様式で申請した場合に比べて、事務処理等に時間を要することがあるため、協会けんぽは新様式の使用を案内しています。


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2022年11月2日「協会けんぽ 来年1月から使用する各種申請書の新様式を公開」
https://roumu.com/archives/113784.html
2022年7月7日「来年の1月より協会けんぽの各種申請・届出書の様式が変更となります」
https://roumu.com/archives/112648.html

参考リンク
協会けんぽ「申請書の様式変更について」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat297/
(宮武貴美)