2024年4月施行で予定される通算契約期間・更新回数の上限等の明示義務
2022年12月28日の記事「厚労省から公表された今後の労働契約法制と労働時間法制のあり方に関する報告」で取り上げた「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)」では、使用者が有期雇用契約の締結より後に更新上限を新たに設ける場合には、その上限設定の理由を説明すべきこと、また、使用者から個々の労働者に対して、無期転換後の労働条件に関して均衡を考慮した事項について説明するよう促すべきことが盛り込まれていました。
この報告を受け、2023年1月13日より、「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案」等の改正にかかるパブリックコメントの募集が開始されています。
パブリックコメントでは、無期転換ルールの制度が適切に活用されるよう必要な取り組みを更に進めることが適当であるとされていることから、無期転換ルールおよび労働契約関係の明確化についての以下の通りの改正が見込まれています。
・法第15条第1項前段に基づく労働条件明示事項に、通算契約期間又は有期労働契約の更新回数の上限並びに就業場所・業務の変更の範囲を追加する。
・無期転換申込権が発生する契約更新時における法第15条第1項前段に基づく労働条件明示の明示事項に、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件を追加する。
・無期転換後の労働条件を明示する際には、労働契約の締結時に書面の交付等の方法により明示することとされている事項については、書面の交付等の方法により明示することとする。
この省令案に沿った実務対応を想定すると、今後、労働条件通知書の様式変更に伴う追記、説明の流れ等が必要になってきます。また、自社の無期転換ルールの整備・運用も再度確認する必要があるのでしょう。
なお、同パブリックコメントでは、専門型裁量労働制の対象業務の追加や健康・福祉確保措置の追加、労使委員会の導入促進と労使協議の実効性向上等について必要な改正についても盛り込まれています。
今後の予定は、2023年3月上旬に改正省令が公布され、2024年4月1日から適用される予定となっています。
関連記事
2022年12月28日「厚労省から公表された今後の労働契約法制と労働時間法制のあり方に関する報告」
https://roumu.com/archives/114660.html
参考リンク
e-gov「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案」及び「労働基準法第三十八条の四第一項の規定により同項第一号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針及び労働基準法施行規則第二十四条の二の二第二項第六号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務の一部を改正する告示案」に関する御意見の募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495220317&Mode=0
(福間みゆき)