成果主義の時代に公的資格手当をどう考えるか
11月4日の当blogで「成果主義の時代に家族手当をどう考えるか 」という記事を掲載しましたが、本日は「諸手当を考える」シリーズ第2回として、家族手当同様に見直しが進められる公的資格手当についてお話しすることにします。
公的資格手当とは、原則的に国家資格を中心とした公的資格を保有する者に対し、月額で固定的な手当を支給するという制度で、その支給目的は主として、1)社員の資格取得に向けたインセンティブ、2)その資格業務に携わることによる責任の増加などへの対応という2つがあるとされています。実際の導入状況はどのようになっているのかを関西経営者協会の「2004年度 標準勤続者賃金と諸手当」で見てみることにしましょう。規模に関係のない524社の調査で見ると、その実施率は37.6%となっており、比較的実施率が高いことが分かります。規模別では従業員数3,000人以上の大企業では19.0%と低いのですが、それ未満では40%前後の実施率になっています。支給額についても同調査から引用すると、電器主任技術者5,900円、危険物取扱者2,900円、衛生管理者3,200円、1級建築士12,700円といった水準になっています。
さて、この公的資格手当の最近の動向ですが、多くの企業でその廃止・見直しが進められています。特に成果主義の人事制度を志向する企業では、「資格の保有という事実(潜在能力)に対してではなく、それを活かして担当する仕事の貢献度に基づき、処遇を行おう」という考え方が強まっており、公的資格手当が進められています。確かに実務運用の中でも下手に公的資格手当を支給してしまったが故に給与のバランスが悪くなり、後々問題となってしまったということが多く見られています。
そこで公的資格に関しては、以下のような取扱いを行うことをお薦めしています。
□取得を推奨する資格についてリストアップを行い、総合的な支援制度(試験前に休暇を取りやすくするような配慮、社内勉強会の主催など)を導入する。
□合格時には合格祝金を支給し、表彰制度の中でのインセンティブを強化する(全社会議などの場を効果的に使い、上手に表彰を行う)。
□業務を行うためには登録が必要で、かつそれによって一定の責任が発生する資格については、責任手当という位置付けで月次の手当を支給する。
以上のような考え方を参考に、公的資格手当の意義の再検証を行って頂ければと思います。
(大津章敬)