家族手当改革に見られる一時金化の動き

 次世代育成支援対策推進法の施行もあり、多くの企業で社員の育児に対する支援制度の創設や、家族手当の見直しなどの検討が進められています。


 家族手当改定については、以前当ブログにおいてもその考え方(成果主義の時代に家族手当をどう考えるか )を取り上げましたが、基本的には教育費の増大に対応するため子女への給付という側面を明確にし、配偶者手当は縮小もしくは廃止、子女への手当を拡充という傾向が明確に出てきています。具体的には、例えば、従来配偶者手当が15,000円、子女手当が5,000円とされていた場合、トータル原資は大きく変えず、原資を再配分し、配偶者手当を7,500円に減額、子女手当を10,000円に倍増させるというような対応を行う企業が増えています。


 一方、このように支給額を変更するという取り組みに止まらず、支給方法自体を見直し、毎月の支給からイベント毎の一時金支給という方法に変更する企業も出てきています。例えば、子供の出生時に30万円、幼稚園(保育園)・小学校・中学校・高校・大学への進学時にそれぞれ20万円、成人式の際に10万円の育児支援金を支給するといった具合です。この金額だけを見ると高いようですが、先ほどの例であげた一時金の支給額を合計すると、その総額は1,400,000円になります。これに対し、毎月5,000円のの子女手当を22歳まで支給する場合の総額は1,320,000円ですから、決して原資が大きく増えている訳ではありません。


 こうした一時金化の流れは、公的資格手当などでも見られるところですが、家族手当においては、実際に大きな支出が必要となるイベント時に集中的に原資を振り分け、社員の負担増に応えるという発想で組み立てることになります。この家族手当の一時金化を実際に導入している企業で話をお聞きすると、社員にも概ね好評であるとのことです。今後、自社の育児関連の施策を検討される際には、1つの考え方として参考として頂ければと思います。



□参考リンク
厚生労働省「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画について 」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/jisedai/index.html


(大津章敬)


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