残業は命令できるのか?




 当社は和菓子製造・販売業ですが、業種柄、毎年お歳暮やお中元の時期は多忙のため、工場従業員や店舗従事者とも、長時間労働を余儀なくされています。ところがこの度、ある従業員に、「子供を迎えに行かなければならないので、今日は残業をすることができない」と申し出を受けました。いままでに残業拒否を申し出た従業員はいなかったため、対応の仕方がわかりません。会社として、そもそも残業命令を行っても良いのでしょうか。なお、36協定届は法定通り労働基準監督署へ届け出ています。


 貴社は36協定(時間外・休日労働に関する協定届)を締結し、労働基準監督署へ届け出ていますので、刑事上の処罰は免責されます。しかし、これのみでは足らず、従業員に残業を命ずるにはその旨を就業規則等に定めなければなりません。


 具体的には、就業規則等に「業務上やむを得ない事由のある場合には、時間外勤務を命ずることがある」といった定めをしておきます。このような「合理的な理由があるときは時間外労働をさせることがある」との定めがないと、会社から残業を命令する権利、従業員がこれに応ずる義務といった民事上の根拠は存在しないことになります。


 以上から、就業規則等に記載があれば、会社として残業を命令することは可能です。ただし、規定の仕方が上記のように「業務上やむを得ない事由のある場合には…」といった一般的なものである場合、従業員側に相当な理由がある場合にはこれを拒否することもできるものであると解される場合があります。そのため今回のように、子供の送り迎えといった事情については、双方納得のいくように、個別の話し合いによる対応が望まれます。
 
 なお、この場合の「子供」が小学校入学前の子である場合、別途育児・介護休業法による勤務時間短縮等の措置に係る義務(第23条第1項、年齢により努力義務)が生じるため、こちらもご注意頂きたいと思います。



参考リンク
労務ドットコムブログ「育児休業等に関し事業主が講ずべき措置(その1)」
https://roumu.com
/archives/50264955.html


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