インターネットの私的利用の防止策の傾向と不正利用時の懲戒処分

 昨日の当blog記事「インターネットおよび電子メールの私的利用に関するルールの策定状況」では、労務行政研究所が行った「インターネット等の私的利用に関する実態調査」の結果についてご紹介しましたが、本日はこの調査結果の中から、更に踏み込んだ内容について取り上げたいと思います。


 前回、全体の48.9%の企業において、インターネット・電子メールの私的利用のルールを定めており、そのうち8割程度の企業がインターネット・電子メールの「私的利用を全面的に禁止」しているとご紹介しました。それではの私的利用を防止するための対策はどの程度取られているのでしょうか。
[インターネットの私的利用の防止対策]
 まずインターネットの私的利用の防止については、全体の84.8%がなんらかの対策を講じていると回答しています。その具体的内容(複数回答)については、以下のようになっています。
WEBサイトの閲覧状況等の履歴の保存 37.7%
インターネットの利用状況をシステム上でモニタリング 21.0%
WEBサイトの閲覧を制限 26.8%
インターネットが利用できるパソコンを制限 18.8%
職場の責任者に管理を任せる 32.6%


[電子メールの私的利用の防止対策]
 一方、電子メールの私的利用の防止については、全体の81.9%が対策を講じています。また具体的な内容(複数回答)については、以下のような取り組みがなされています。
電子メールの送信・着信履歴の保存 42.0%
利用状況のモニタリング 17.4%
電子メールの送信・着信を制限 7,2%
電子メールが利用できるパソコンを制限 10.1%
職場の責任者に管理を任せる 34.8%


[パソコン・携帯電話の不正使用があった場合の懲戒処分]
 最後に、実際にパソコン・携帯電話の不正使用があった場合の懲戒処分(情状の最も重い場合の処分)についての項目についてでですが、多くの不正使用について譴責処分が定められている一方で、「社内機密データの持ち出し・公開」については過半数が懲戒解雇処分までを規定しているという結果になっています。ただ同時にいずれの項目も30%前後の企業が「判断できない」と回答しており、明確なルールの整備が遅れている状況が窺われます。
アダルトサイト等の閲覧→譴責・注意処分45.6%
私用メールの多用→譴責・注意処分48.2%
パソコンを使って度重なる業務に関係のない私的文書の作成→譴責・注意処分43.9%
会社貸与の携帯電話の頻繁な私的利用→譴責・注意処分48.6%
社内機密データの持ち出し・公開→懲戒解雇 51.7%


 多くの企業で、業務を遂行するにあたってインターネットや電子メールの使用が不可欠となっており、その適切な利用に関するルール作りが求められています。



参考リンク
労務行政研究所「インターネット等の私的利用に関する実態調査」
http://www.rosei.or.jp/press/pdf/200605.pdf



(大津章敬)


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