重要な「人」問題への対応
厚生労働省を初めとして、様々な機関から求人倍率情報が公表されている。この中で特にその伸びが顕著なのが新卒学生に関する求人倍率である。大卒・高卒ともに、10年近く1.3倍程度で推移していた求人倍率が、平成18年3月卒では1.6倍を超えている。平成19年度は1.9倍にまで上がっているといわれており、この調子で行けば平成20年度には、バブル期に匹敵する2倍超えは確実と思われる。このような状況の中、特に中堅・中小企業においては、大企業の旺盛な採用意欲にも押され、採用予定数の半分にも満たない企業が続出しているという。同様に、中途やパート、更には派遣社員の受入もままならなくなってきており、好景気に後押しされた人材ニーズの向上と相まって、必要人員が確保できない企業が確実に増えている。
このような状況では、何より教育が重要である。数が足りなければ、現有戦力の能力向上を図るしかない。特に、好況期に入社してくる人材は、不況期に入社する者と比較して、がむしゃら度合いが低く、より一層、教育による徹底した即戦力化が求められる。一方で、このような採用状況は現場には伝わりにくく、採用への不満となりやすい。採用難の時代には、このギャップを埋め、実際の教育担当者である各現場の長に、「育てるしかない」という強い覚悟と意欲を持たせる啓蒙が肝要である。また、バブル期に見られたような「採用難=人件費アップ」の傾向は今のところ見受けられないが、注視しておく必要はあろう。
いずれにせよ、ここ数年は「人」に関わる相談がより一層増えることは間違いないと思われる。「人」問題への定見を持ち、相談ニーズに適切に対応するよう心がけたい。
参考リンク
リクルートワークス研究所「第23回ワークス大卒求人倍率調査(2007年卒)」
http://www.works-i.com/flow/survey/bairitsu2007.html
厚生労働省「一般職業紹介状況(平成18年10月分)について」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/ippan/2006/10/index.html
厚生労働省「平成18年度大学等卒業者就職状況調査(平成18年10月1日現在)について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/11/h1110-3.html
関連blog記事
2006年10月29日「新卒採用の一人当たり経費の平均は371,819円」
https://roumu.com
/archives/cat_1031248.html
2006年7月30日「中小企業における雇用の不足感と採用難の高まり」
https://roumu.com
/archives/50667960.html
(影山勝行)
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