労働契約法案公表 その内容は?
一昨日は労働基準法の改正案についての紹介を行いましたが、本日はそれに続き、労働契約法案について取り上げることとしましょう。
そもそも我が国には労働契約に関するルールが明確になっておらず、個々の問題解決に当たっては、過去の裁判例や通達に基づいて判断が行われてきました。今回の労働契約法はこの状況を改善すべく、労働契約に関する基本ルールを明確にするという趣旨で検討が進められてきました。今回の目玉であった解雇の金銭解決制度の導入が見送られたことから、内容を見ると実務上それほど目新しいものは少なく、従来一般的に行われていた取扱いが法律としてまとめられているという印象を強く受けます。今回の法案の基本的なポイントは以下の4点となっています。
労働契約の締結
労働契約の変更
労働契約の継続・終了
有期労働契約
今回の法案で一つ大きな内容をあげるとすれば、就業規則の不利益変更に関し、第四銀行事件(最判平成9年2月28日)の判旨を踏襲し、「就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は当該変更後の就業規則に定めるところによるものとするものとすること」と明示した点が、指摘されます。
関連blog記事
2007年3月14日「注目の労働基準法改正案 割増率と年休時間付与のみの小規模改定に止まる」
https://roumu.com
/archives/50915833.html
参考リンク
厚生労働省「労働契約法案」について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/03/h0313-5.html
連合「労働契約法案及び労働基準法の一部を改正する法律案の閣議決定にあたっての談話」
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/danwa/2007/20070313_1173779411.html
独立行政法人 労働政策研究・研修機構【事件名】賃金債権請求上告事件(第四銀行事件)
http://www.jil.go.jp/kikaku-qa/hanrei/data/110.htm
(大津章敬)
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