「偉くなりたくない」「最低限の収入を得てのんびり暮らしたい」という高校生が激増
先日、財団法人日本青少年研究所より「高校生の意欲に関する調査」という資料が発表されましたが、あまりに衝撃的な内容でしたので、ここで紹介しましょう。これは日米中韓の4ヶ国の高校生に対し、その意欲や生活実態を把握することを目的に、昨年秋に実施した調査の結果。
様々な企業で管理職になりたくない、昇進するよりも現在の仕事をそのまま続けたいというような「スローキャリア派」の人材が多く見られるようになっていますが、今回の調査を見ると、いまの高校生はその傾向が更に鮮明になっていることが分かります。ここでは職業意識等に関連する4つの調査結果について取り上げてみましょう。
偉くなりたいか
「偉くなりたいと思う」(「強くそう思う」)という回答の割合(左グラフ)
日本8.0%、米国22.3%、中国34.4%、韓国22.9%
生活意識
日本:「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたい」
米国:「一生に何回かはデカイことに挑戦してみたい」
中国:「やりたいことにいくら困難があっても挑戦してみたい」
韓国:「大きい組織の中で自分の力を発揮したい」
将来就きたい職業
日本:「営業・販売・サービス職」
米国:「医師」、「デザイナー」、「スポーツ選手や歌手」
中国:「会社・企業の経営、管理職」、「公務員」、「法律家」
韓国:「小中高校の教師」「会社・企業の経営、管理職」「デザイナー」
心情
「よくいらいらしている」
日本28.0%、米国18.4%、中国17.8%、韓国13.2%
「よく疲れていると思う」
日本50.0%、米国38.2%、中国31.8%、韓国37.0%
websiteで公表されている資料は結果概要にとどまっているため、詳細は不明な部分もありますが、特に「偉くなりたい」と思うの回答が、他の3ヶ国に比べ極端に低いのが非常に気になります。また生活意識の項目も、他の3ヶ国が高校生らしい希望に溢れたものであるのに対し、日本の高校生は「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたい」という傾向が強く見られるようで、これから彼らを迎い入れることとなる企業の人事担当者としては大きな不安を感じるのではないでしょうか。日本経済が成熟化したことによる社会意識の変化なのかも知れませんが、基本的に社員の上昇志向を前提に考える傾向が強い従来の人事労務管理のあり方自体を見直さなければならない時代になってきたように感じます。
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参考リンク
財団法人日本青少年研究所「高校生の意欲に関する調査」
http://www1.odn.ne.jp/youth-study/reserch/2007/gaiyo2.pdf
(大津章敬)
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