業績・能力主義的な給与体系や昇格を望まない若手社員が年々増加している

業績・能力主義的な給与体系や昇格を望まない若手社員が年々増加 2007年4月25日のブログ記事「新入社員が魅力を感じるのは実力主義より年功主義?」では、社団法人日本能率協会の調査を引用し、今年の新入社員は、実力が評価され、早い昇進等が実現できる徹底した実力主義の会社よりも、競争はせずみんなで平等に上がっていく年功主義の会社を支持する割合が高いというデータをご紹介しました。今日はこの傾向を更に裏付ける、もう一つのデータを紹介します。


 先日、社会経済生産性本部が発表した「第18回 2007 年度 新入社員意識調査」の中に、先ほどの質問項目と同じようなものがありますので、以下、その中から2つの項目について見てみることにしましょう。
給料の決め方(給与体系)
 各人の業績や能力が大きく影響する給与システムを希望する:61.9%
 業績や能力よりも、年齢・経験を重視して給与が上がるシステムを希望する:38.1%
昇格
 仕事を通して発揮した能力をもとにして評価が決まり、同期入社でも昇格に差が付くような職場を希望する:65.6%
 年齢や経験によって、平均的に昇格していく職場を希望する:34.4%


 これを見ると先日の日本能率協会のデータよりも業績・能力主義的な給与体系、昇格を希望する割合が高いように見えますが、それ以上に注目すべきはその推移です。左のグラフが1997年以降の推移をまとめたものですが、2002年にそれぞれ73.3%、74.6%という最高値を記録して以来、ほぼ毎年業績・能力主義的な給与体系、昇格を希望する回答は減少を続けており、この流れは年々強まっていることが分かります。新入社員を対象にした調査ですので、これが必ずしも若手社員の意識とイコールではないと思いますが、全体としてはこの傾向は決定的なものであると言うことができるでしょう。人事制度を設計する際や部下との面談の際には、こうした傾向があることを意識して、対処することが求められています。



関連blog記事
2007年4月25日「新入社員が魅力を感じるのは実力主義より年功主義?」
https://roumu.com
/archives/50953381.html

2007年4月24日「新入社員が描く理想の上司と、実際の上司の意識はこんなにズレている」
https://roumu.com
/archives/50952564.html


参考リンク
社会経済生産性本部「第18回 2007 年度 新入社員意識調査」
http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/mdd/activity000814.html


(大津章敬)


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