[雇用保険法改正]育児休業給付を受給した場合の基本手当との調整

[雇用保険法改正]育児休業給付を受給した場合の基本手当との調整 今回は、再度10月に改正が行われる雇用保険の改正点の中から、「案外落し穴だなぁ」と感じる育児休業給付と基本手当の算定基礎期間の調整について取り上げましょう。



[質問]
 当社では育児休業を取得し、職場復帰する社員が徐々に増えてきました。総務部でも8月14日が出産予定日の社員がおり、予定日通りの出産となると10月10日から育児休業に入ります。ところで、今回の雇用保険の改正で育児休業を取ると将来の失業手当が減額されるかも知れないと聞きました。本当なのでしょうか?本当であれば内容を教えてください。


[回答]
 今回の改正で、育児休業給付の受給期間と基本手当の所定給付日数の算定基礎期間との調整が行われることになりました。被保険者期間(算定基礎期間)と離職のタイミングによっては、基本手当の額は育児休業を取得しなかった方と比較して少なくなる可能性があります。
【例】雇用保険被保険者期間10年3ヶ月で自己都合で退職した場合
■ケース1:育児休業取得したことがない場合
 雇用保険被保険者期間は10年3ヶ月のため、基本手当は120日
■ケース2:育児休業期間を平成19年10月から平成20年4月までの6ヶ月間取得した場合
 雇用保険被保険者期間は「10年3ヶ月-6ヶ月=9年9ヶ月」となりるため、基本手当は90日


 今回の改正により平成19年10月1日以降に育児休業を開始し、育児休業給付を受けた期間については基本手当の算定基礎期間から除外されることとなります。従って、上記のケース2のように算定基礎期間10年未満の所定給付日数90日、算定基礎期間10年以上20年未満の所定給付日数120日のように、基本手当の所定給付日数の境目となる算定基礎期間となった場合は、育児休業給付を受けた期間によって基本手当が少なくなる可能性があります。


[まとめ]
 この内容は育児休業取得時ではなく、離職時に問題となりやすいといえます。特に、解雇・倒産等で離職を余儀なくされた特定受給資格者については、最大90日の差異がでてきます。離職時にもめることがないよう、育児休業取得時に事前に説明することが求められるでしょう。



関連blog記事
2007年6月13日「雇用保険法改正 育児休業給付率の50%への引き上げの内容」
https://roumu.com
/archives/50990000.html

2007年5月14日「[平成19年雇用保険改正]育児休業給付の給付率引き上げ」
https://roumu.com
/archives/50969725.html


参考リンク
厚生労働省「雇用保険法が変わります!~雇用保険被保険者のみなさまへ」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/pdf/02.pdf
厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律(平成19年法律第30号)の概要」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/pdf/01.pdf


(宮武貴美)


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