最低賃金違反に関する監督が強化されています

 平成19年度の最低賃金に関しては、例年に比べ大幅引き上げとなることが可能性が高いことを以前から当ブログ(参照:2007年8月14日記事「平成19年改正の最低賃金の目安は全国加重平均14円の方向」)でお伝えしてきました。これに関連する情報として昨日、厚生労働省から「平成19年6月の最低賃金の履行確保に係る一斉監督結果」が発表されました。


 これによると、最低賃金額以上の賃金を支払っていない最低賃金法第5条違反は、全国一斉に監督を実施した11,120事業場のうち707事業場。違反率は6.4%になっています。なお業種別の違反率を見ると、歩合給制度の採用率が高い運輸交通業で16.8%という非常に高い違反が見られています。ちなみに、監督実施事業場において最低賃金額未満の賃金しか支払を受けていない労働者数は2,051人。その内訳として、パート・アルバイトが56.9%、障害者が13.8%、外国人が7.3%となっています。


 これらの内容も重要ですが、それ以上にここでは最低賃金主眼監督実施事業所数が増加、つまり最低賃金の調査件数が増えていることに注目したいところです。平成18年度の監督実施事業所数は年間で10,700事業場であったのに対し、平成19年度については、一斉監督が行われた6月のみの調査で、昨年1年間と同水準の11,120事業場の調査が行われています。今後も最低賃金遵守のための事業所に対する指導の強化に努め、最低賃金の周知徹底を図ることとされており、10月に予定される最低賃金の引き上げとともに労働基準監督署の調査が増えることも予想されます。今後の最低賃金の動向には、大いに注目する必要があるでしょう。


[参考条文]
最低賃金法 第5条(最低賃金の効力)
 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
2 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で、最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。
※第3項および第4項は省略



関連blog記事
2007年8月14日「平成19年改正の最低賃金の目安は全国加重平均14円の方向」
https://roumu.com
/archives/51044415.html

2007年7月17日「最低賃金 大幅引き上げの方向」
https://roumu.com
/archives/51021775.html


参考リンク
厚生労働省「最低賃金に係る違反事業場の割合は6.4%―平成19年6月の最低賃金の履行確保に係る一斉監督結果」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/08/h0822-2.html
中央最低賃金審議会答申「平成19年度地域別最低賃金額改定の目安について」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/08/s0810-4.html


(宮武貴美)


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