強化される障害者雇用の指導基準と「雇入れ計画作成命令」の対象範囲拡大
先日、厚生労働省より障害者雇用状況に関する発表が行われました。この発表によると、平成19年6月1日現在の民間企業の障害者の実雇用率は1.55%(グラフはクリックして拡大)となっており、前年よりも0.03%上昇したそうです。現在の民間企業の法定雇用率は1.8%ですが、平成元年の調査では1.32%の雇用率であったことを考えると徐々に上昇してきているのが分かります。しかしながら一方で中小企業の実雇用率が引き続き低い水準であることが指摘されており、特に100~299人規模の企業においては、1.30%と企業別でもっとも低くなっていることが指摘されています。また、1,000人以上規模の企業についても、法定雇用率達成企業の割合が企業規模別で、もっとも低くなっていることも指摘されています。このような背景に基づき、厚生労働省から新しい指導基準が発表され、達成指導が強化されることが明示されました。
この新しい指導基準とは、「雇入れ計画作成命令」の対象範囲の拡大であり、以下の3点がポイントに挙がっています。
指導対象とする実雇用率の水準の見直し
・1.2%未満 かつ 不足数5人以上
→全国平均実雇用率未満 かつ 不足数5人以上
0人雇用の中小企業に対する指導の強化
・法定雇用数が3~4人(167~277人規模の企業)であって、0人雇用の企業
不足数が多い大企業に対する指導の強化
・不足数10人以上の企業
は既に平成18年度から実施されており、についても平成19年度から実施されることになっています。この他、「平成20年の障害者雇用状況報告において、雇用率達成企業の割合が5割を超えることを目指す」としていますので、雇用率上昇に向けた指導が今後かなり厳しくなることが予想されます。
関連blog記事
2007年2月13日「4月より障害者雇用調整金等の申告期日が変更されます」
https://roumu.com
/archives/50887481.html
参考リンク
厚生労働省「民間企業の障害者の実雇用率は、1.55%」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/11/h1120-1.html
(宮武貴美)
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