中途社員への「新人教育」の必要性

 中小企業ではそもそもほとんどの社員が中途採用で入社していますが、最近では大企業でも新卒採用一辺倒から脱却し、中途採用を積極的に行うようになりました。新卒採用の場合には数週間に亘る新入社員研修を実施する企業も多いですが、中途採用の場合の入社時教育は決して十分なものではないことが多いのではないでしょうか。


 中途入社の社員は、前職における職務経験を有しているため、通常、社会人としてのマナーや知識をある程度習得しています。そのため、学卒の新人のように、「仕事とはなにか」を考えさせる研修であったり、名刺の渡し方やお辞儀の仕方などを教育する必要は少ないとのかも知れません。しかし、中途社員に対して行われる研修は、半日や1日で終わるような簡単なもので済まされており、果たしてこれで会社のことが理解できるのか心配に感じます。


 中途社員の場合、即戦力として採用した部分が大きいため、早く部署に配属して慣れて欲しいという思いが強くなってしまいますが、果たしてそれで良いのでしょうか。入社の時点で、会社の理念や、それが作られた背景や想い、そもそも会社創業の経緯などを伝え社員全員が共有していくことが不可欠ではないかと思います。それだけでなく、会社はどんなことをやっているのか、自分の部署だけでなく他の部署のことをこの入社したタイミングで知らせておくことも望まれます。実際、部署に配属されてしまうと、他の部署が何をしているのかを知ることが難しい現状があるでしょう。


 会社としては、中途社員に対しても伝えておくべき内容をピックアップし、入社のタイミングで確実に伝えておくべきでしょう。随時社員が入社しているため対応が難しい場合は、2~3ヶ月毎に研修会を実施するなどの対応が望まれます。これからの時期であれば、4月に入社してくる学卒の新人と合同で、会社の理念や創業の経緯などの話を聞くというものよいでしょう。また、中途社員というのは正社員に限らず、嘱託社員や契約社員、パート社員などが含まれます。理念を共有しておくことは会社で働く全ての社員に当てはまるものであるため、すべての社員を対象にして伝えておくことが重要ではないでしょうか。



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2008年1月26日「新入社員に対する教育のポイントとコミュニケーションの促進」
https://roumu.com
/archives/51234799.html


(福間みゆき)


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