長時間労働の改善を促進する「職場意識改善助成金」

長時間労働の改善を促進する「職場意識改善助成金」 近年、過重労働によるメンタルヘルス不全や過労死が人事労務管理における最大の課題として認識され、国としても様々なルールを策定し、過重労働防止や労働者の健康管理の徹底を進めています。このような状態を是正していくためには企業だけでなく、働く当事者も意識を変えていくことが不可欠となり、そうした労使の取り組みを支援するために平成20年4月1日より職場意識改善助成金という助成金が開始されました。本日はこの助成金の概要について取り上げたいと思います。


[制度の概要]
 中小企業事業主が職場意識を改善するために「職場意識改善計画」(実施期間2カ年)を策定し、この計画に基づく措置を効果的に実施した場合に、助成金が支給される制度です。


[対象となる中小企業事業主]
□雇用保険の適用事業主であること。
□図表の資本金額あるいは労働者数のいずれかを満たすもの。
中小企業の範囲 


[申請の流れおよび申請時期]
職場意識改善計画の認定申請 なるべく早く
受給申請(第1回目)    同年度2/1~2/末
受給申請(第2回目)    翌年度2/1~2/末


[支給額]
[第1回目]職場意識改善計画に基づいて1年間取組を効果的に実施して、設定改善指標の得点が50点以上になったとき 50万円
[第2回目]第1回目と同じように取組を効果的に実施して、設定改善指標の得点が70点以上になったとき 50万円
[加算]さらに2ヵ年度にわたって効果的な取組を行い、以下の3点すべてを満たしたとき 50万円追加(この助成金は最大150万円を受給することが可能)
年次有給休暇の平均取得率が60%以上
事業実施前と比較して所定外労働時間数の平均を20%以上削減
職場意識改善計画に基づいた措置を行うとともに、効果的に実施し、設定改善指標の得点が100点以上 


[申請窓口]
 各都道府県労働局労働基準部


 企業においては、長時間労働を改善していくための取組が求められており、その際、この職場意識改善助成金を活用することができるでしょう。また、長時間労働の改善支援には今回の助成金のほかに、「中小企業労働時間適正化助成金」(平成19年7月3日施行)があります。


[関連通達等]
当面の労働時間対策の具体的推進について(基発0401009号 平成20年4月1日)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/200424-a00.pdf
労働時間等設定改善指針の改正について(基発0401023号 平成20年4月1日)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/200404-d00.pdf
労働時間等設定改善指針(平成20年厚生労働省告示第108号)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/03/dl/h0324-2b.pdf



関連blog記事
2008年4月25日「正社員への転換を支援する中小企業雇用安定化奨励金」
https://roumu.com
/archives/51310703.html


参考リンク
栃木労働局「職場意識改善助成金のご案内」
http://www.tochigi-roudou.go.jp/kantoku/syokuba_ishiki.pdf
総務省「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」
http://www8.cao.go.jp/wlb/government/pdf/charter.pdf
総務省「仕事と生活の調和推進のための行動指針」
http://www8.cao.go.jp/wlb/government/pdf/indicator.pdf
厚生労働省「中小企業労働時間適正化促進助成金のご案内」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken03/index.html


(福間みゆき)


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