人材育成に活かせるジョブ・カード制度

人材育成に活かせるジョブ・カード制度 ジョブ・カード制度とは、正社員としての経験が少ない者を雇った際に、OJTやOff-JTを組み合わせて研修を実施し、この者の適性を判断した上で正社員として継続雇用することにより、自社が必要とする人材の採用に役立てることができる制度です。そして、一定の要件を満たす場合には、国からの助成金を受けることができるようになっています。


 もともとこのジョブ・カードとは、これを作成する中で自分の職業能力・意識を整理できるキャリア形成支援ツールで、求職活動などに幅広く活用できるようになっています。シートは総括表、職務経歴、学習歴・訓練歴。免許・取得資格、キャリアシート、評価シートの6種類から成っており、誰でもホームページから雛形をダウンロードすることができます。企業としては、このジョブ・カード制度を一定の職業訓練(職業能力形成プログラム)を実施する場合や従業員の職業能力やモチベーションの向上などキャリア形成支援に活用することが可能となっています。具体的な活用フロー図としては、次のようになります。
(1)訓練実施計画の作成:訓練を受け入れる部門の選定、訓練実施の期間や人数等の決定  
(2)受給資格認定の申請:訓練実施計画と評価シートを添えて、キャリア形成促進助成金受給認定申請書を(独)雇用・能力開発機構都道府県センターに提出
(3)訓練受講希望者の募集:ハローワーク等の職業紹介機関に求人票を提出
(4)応募者の選考:求職者(訓練受講希望者)との面談、採用する場合は雇用契約を締結
(5)訓練の実施
(6)職業能力の評価
(7)訓練受講者を正社員として採用(または不採用)の決定
(8)キャリア形成促進助成金の支給申請
(9)キャリア形成促進助成金の受給


 この訓練実施を行うことで得られるメリットとしては、以下のようなものがあります。
□自社での実習を通じて求職者の職業能力を高めることにより、即戦力の人材を確保できる。
□自社のニーズに応じた人材育成と評価ができるので、採用時のミスマッチや早期離職のリスクを軽減できる。
□自社のパート等を正社員として登用するときにも活用できる。
□助成金(キャリア形成促進助成金)を活用することにより、研修コストの負担を軽減できる。
□人材育成・能力開発に積極的な企業であることをPRできる。


 人材を採用する際には、このような制度および助成金を活用することも検討のひとつとして押さえておきたいものです。なお、ジョブ・カードセンターは商工会議所が事業として行っており、ホームページには導入事例が紹介されています。



関連blog記事
2009年2月19日「平成21年2月6日よりキャリア形成促進助成金が拡充」
https://roumu.com
/archives/51506044.html


参考リンク
厚生労働省「ジョブ・カード制のご案内」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/job_card01/dl/jobcard_info.pdf
日本商工会議所「ジョブ・カード事業」
http://www.jc-center.jp/
日本商工会議所「全国のジョブ・カードセンター サポートセンター」
http://www.jc-center.jp/link/index.htmlf


(福間みゆき)


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