国民健康保険料(税)の軽減措置制度の利用と協会けんぽの任意継続被保険者の取扱い
2010年3月11日のブログ記事「倒産などで職を失った失業者に対する国民健康保険料(税)の軽減措置の創設」では、雇用保険の特定受給資格者等の国民健康保険料(税)(以下、「国保料」という)の軽減措置について取り上げました。これに関し、全国健康保険協会(以下、「協会けんぽ」という)の任意継続被保険者として保険料を前納していた場合の措置が協会けんぽから発表されていますので、今日はこれについて取り上げておきましょう。
国保料の軽減措置制度とは、倒産・解雇等の理由で離職した雇用保険の特定受給資格者や雇止め等の理由で離職した雇用保険の特定理由離職者に対し、離職後の国保料の計算において前年所得の給与所得を100分の30として算定するというものです。この制度を利用することで、離職後に協会けんぽの任意継続被保険者となった場合には、その任意継続被保険者の保険料よりも国保料が低くなるという事態の発生が考えられます。しかしながら、任意継続被保険者が資格を喪失する理由にこの理由は含まれていないため、任意継続被保険者として保険料の前納を行っているような場合には、前納とした期間が経過するまで国民健康保険には切り替えることができないという事態が想定されます。
協会けんぽではこのような事態の解決のため、任意継続被保険者として保険料の前納を行っていた場合には、被保険者本人の申出により保険料の前納を初めからなかったものとする取扱いを始めました。具体的には、申出書も必要事項および前納を初めからなかったものとする理由を記入のうえ、管轄する協会けんぽ支部へ提出することとなります。その後、申出書を受付した時点での保険料還付額が再計算され、任意継続被保険者資格の未経過期間分の保険料が申出書に記入した口座に後日振り込まれます。この還付額については、納付済み前納保険料額から任意継続被保険者資格の期間経過分の各月の保険料額がマイナスされた額となります。
なお、前納していない被保険者については、毎月の保険料(毎月月初にお送りする納付書)を納付期限(10日)までに納付しない場合に、その月の11日に資格を喪失することになるため、これを行うことで国民健康保険に切り替えることができます。
関連blog記事
2010年3月11日「倒産などで職を失った失業者に対する国民健康保険料(税)の軽減措置の創設」
https://roumu.com
/archives/51707336.html
参考リンク
協会けんぽ「【健康保険】国民健康保険料(税)の軽減制度と任意継続被保険者について 」
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/news/detail.1.39662.html
(宮武貴美)
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