倒産などで職を失った失業者に対する国民健康保険料(税)の軽減措置の創設
当年度の国民健康保険料(税)(以下、「保険料」という)は、前年の所得に基づき計算され、徴収されます。このため、一般的には退職し、収入が少なくなったにも関わらず翌年の保険料の負担は大きく、事前に準備をしていない場合には保険料の支払いに苦慮するという話をよく耳にします。昨今の経済情勢の悪化に伴い、倒産などで職を失った失業者がこの保険料の支払いに困窮する事例が増加していることから、厚生労働省はこの対策として保険料の軽減措置を設ける準備を進めています。
具体的には、離職の翌日から翌年度末までの期間において、倒産・解雇などにより離職した雇用保険の特定受給資格者および雇い止めなどにより離職した雇用保険の特定理由離職者を対象とし、失業時からその翌年度末までの間、前年所得の給与所得を30/100として保険料を算定することにしています。また、高額療養費等の所得区分の判定についても、同様の措置を設けることとしています。
保険料減額措置の事例では、以下のような試算がされています。
給与収入が500万円の3人世帯の場合
健康保険料 23.4万円(年額)
国民健康保険料(税) 軽減前 34.7万円 → 軽減後 14.8万円(年額)
給与収入が300万円の単身世帯の場合
健康保険料 14.0万円(年額)
国民健康保険料(税) 軽減前 18.5万円 → 軽減後 7.6万円(年額)
※計算には細かな条件設定があるため、一概にこの金額になるわけではありません。
この軽減措置は、平成22年4月の施行が予定されており、この制度が始まる前1年以内に離職した者については、平成22年度に限り保険料が軽減される予定になっています。軽減期間については、離職の翌日から翌年度末までとかなり長い期間が想定されています。実際には、国民健康保険法施行令と地方税法の改正を行った上での取り扱いとなるため、成立には注目しておきたいところです。
関連blog記事
2010年3月8日「平成22年度も1割負担に据え置かれる70歳台前半の窓口負担額と高齢受給者証の交換」
https://roumu.com
/archives/51705918.html
2010年2月4日「改正雇用保険法成立 まずは国庫負担3,500億円が決定」
https://roumu.com
/archives/51692254.html
2009年12月8日「[速報]新緊急経済対策における雇用対策の概要」
https://roumu.com
/archives/51664028.html
参考リンク
厚生労働省「倒産などで職を失った失業者に対する国民健康保険料(税)の軽減措置の創設及びハローワーク等での周知について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000004o7v.html
(宮武貴美)
当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。