[ワンポイト講座]労使協定により介護短時間勤務を拒むことのできる従業員の範囲

 いよいよ今月30日より改正育児・介護休業法が施行され、育児において短時間勤務が義務化(中小企業については平成24年6月30日までの猶予措置あり)されます。この改正にあわせ、育児介護休業規程や労使協定について見直しが求められますが、この労使協定においてポイントとなるのは、各制度の適用除外者を明確化することにあります。そこで今回のワンポイト講座では、今回の育児介護休業法の様々な制度の中から、介護短時間勤務において労使協定により拒むことのできる従業員について取り上げることとします。


 介護休業については労使協定により、(1)入社1年未満の労働者、(2)申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者、(3)1週間の所定労働日が2日以下の労働者について、その取得を拒むことができるとされています。その上で企業は介護休業制度と併せて介護休業をしない場合の所定労働時間短縮等の措置として、(1)所定労働時間を短縮する制度、(2)フレックスタイム制、(3)始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、(4)労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度のうち、いずれかの措置を講じる義務があります。


 以上の前提を押さえた上で、これらの措置における適用を除外することができる者について見ていきましょう。この点については、通達(平成21年12月28日 職発第1228第4号、雇児発第1228第2号 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について)が発出されており、「則第34条第3項各号の規定に基づき事業主が講じた措置の適用を申し出ることができない労働者の範囲を定める労使協定を、法第12条第2項において準用する法第6条第1項ただし書に規定する労使協定に準じて結ぶこと」は可能とされており、具体的には以下の2つが挙げられています。
雇入れ後1年未満の労働者
その他介護休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者


 更にこのに該当する者については、介護休業の申出があった日から起算して93日以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者および1週間の所定労働日数が2日以下の労働者とされています(育児介護休業法 第23条)が、上記の通達の中で「当該措置の適用について法が法第11条第1項に規定する要件を満たさない期間を定めて雇用される者についても除外していないことにかんがみ、則第23条第1号に規定する労働者を当該労使協定により除外することはできないもの」とされています。そのため結論としては、介護休業をしない場合の所定労働時間の短縮等の措置については、雇入れ後1年未満の労働者および1週間の所定労働日数が2日以下の労働者について適用除外が可能ということになります。


 厚生労働省の雛形にはこのあたりの記載が見られないため、この雛形をそのまま用いると、労使協定を締結すれば除外できる労働者についても所定労働時間の短縮等の措置を適用することになったり、そもそも除外できることに気付かないこともあるため、注意が必要です。そのため規程を整備する際には、あくまでも雛形はたたき台とし、法令および通達等を確認しながら行うことが望まれます。


[関連法規]
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第23条第3項(所定労働時間の短縮措置等)
 事業主は、その雇用する労働者のうち、その要介護状態にある対象家族を介護する労働者に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づく連続する93日の期間(当該労働者の雇入れの日から当該連続する期間の初日の前日までの期間における介護休業等日数が1以上である場合にあっては、93日から当該介護休業等日数を差し引いた日数の期間とし、当該労働者が当該対象家族の当該要介護状態について介護休業をしたことがある場合にあっては、当該連続する期間は、当該対象家族の当該要介護状態について開始された最初の介護休業に係る介護休業開始予定日とされた日から起算した連続する期間のうち当該労働者が介護休業をしない期間とする。)以上の期間における所定労働時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつその要介護状態にある対象家族を介護することを容易にするための措置を講じなければならない。


育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則 第7条(法第6条第1項第2号の厚生労働省令で定めるもの)
 法第6条第1項第2号の厚生労働省令で定めるものは、次のとおりとする。
一 育児休業申出があった日から起算して1年(法第5条第3項の申出にあっては6月)以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
二 1週間の所定労働日数が著しく少ないものとして厚生労働大臣が定める日数以下の労働者


育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則 第23条(法第12条第2項において準用する法第6条第1項第3号の厚生労働省令で定めるもの)
 法第12条第2項において準用する法第6条第1項第2号の厚生労働省令で定めるものは、次のとおりとする。
一 介護休業申出があった日から起算して93日以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
二 第7条第2号の労働者



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2010年6月3日「改正育児・介護休業法施行に伴う育児休業給付(雇用保険)の変更」
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2010年5月7日「小規模事業所の育児短時間勤務者について100万円の助成金を支給」
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2010年4月15日「厚労省より改正育児介護休業法の規定例に関するリーフレットが公開」
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2010年3月3日「育児・介護休業に関する労使協定(平成22年6月30日施行対応版)」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55366668.html
2010年2月18日「育児・介護休業規程(平成22年6月30日施行対応版)」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55362738.html


(福間みゆき)


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