協会けんぽの平成22年度決算見込みと平成24年度の健康保険料率

協会けんぽの平成22年度決算見込みと平成24年度の健康保険料率 先日、協会けんぽより「平成22年度協会けんぽの決算見込みについて」が発表されました。現在、各協会けんぽ支部の評議会にこの内容に関する意見を諮っており、7月25日の協会けんぽの運営委員会の議を経て、厚生労働省へ承認申請するとのことです。この発表資料の中には今後の社会保険料について注目しておくべき内容がありますので、本日はこれを取り上げておきましょう。

 協会けんぽの保険料率は、平成22年4月納付分より、8.20%から9.34%(全国平均)と1%を超える大幅な引上げが行われました。これにより、平成22年度の医療分の収支差については、2,540億円の黒字が見込まれています。そして、この黒字を赤字償還に充てることで、平成22年度末の累積赤字は639億円に減る予定となっています。しかしながら、図表を見ると分かるとおり、被保険者一人当たりの平均保険給付が前年度よりも増加している一方で、標準報酬月額は前年度比▲1.4%となっており、低下傾向に歯止めがかからない状況が続いています。

 このように協会けんぽの保険財政の構造的な赤字傾向が続いており、現行のままでは平成24年度も保険料率を引き上げざるを得ない状況となることが想定されます。実際に引き上げが行われるかは、今後の具体的な検討の中で決定されることにはなりますが、厚生年金保険料率の引上げも徐々に行われている中での引上げは労使双方にとって相当大きな負担になることでしょう。


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参考リンク
協会けんぽ「平成22年度協会けんぽの決算見込みについて」
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/news/detail.1.76070.html

(宮武貴美)

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