調査結果から見る公的年金制度に対する不安
昨日、厚生労働省のホームページで「平成21年 社会保障における公的・私的サービスに関する意識等調査結果について」(以下、「調査結果」という)が発表されました。厚生労働省は、この調査を「少子化対策(子育て支援)、医療、介護、年金などに関わる、公的サービスと私的サービスの利用状況の現状を把握するとともに、各々の機能のあり方や、役割分担のあり方についての意識を把握することにより、今後の厚生労働行政施策の企画・立案のための基礎資料を得ることを目的とし」て、約1万人を対象に調査を実施しています。本日は、この調査内容の一部を見ておきましょう。
調査結果には、「老後の所得保障について」という項目があり、個人年金に加入している人に対し、その理由(複数回答)を尋ねていますが、平成21年のその上位2項目は、「公的年金だけでは、生活に不安があるから」(53.1%)、「公的年金制度の将来に不安があるから」(46.5%)と、いずれも約半数が公的年金制度に対する不安を抱いています。この数字はあくまでも個人年金に加入している人を対象にした結果であるため、調査対象の人がすべて公的年金に不安を抱いているわけではありませんが、依然として上昇しない国民年金の納付率はから考えても、不安の払拭がでてきていないことがよくわかります。
しかしその一方で、老後の生計を支える手段としてもっとも頼りにするものについては、「国民年金や厚生年金など公的年金」が57.9%でトップ、次に「自分の就労による収入」(20.7%)となっており、不安を抱きつつも、公的年金を頼りにせざるを得ない状況が見て取れます。
日本年金機構では、インターネットで年金記録を簡単に確認できる「ねんきんネット」を始めるなど、様々な取組みをしていますが、それが効果的に働き、老後も安心して暮らすことのできる国になって欲しいと感じます。
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参考リンク
厚生労働省「平成21年 社会保障における公的・私的サービスに関する意識等調査結果について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001mwsb.html
(宮武貴美)
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