厚労省から公表された今後のパートタイム労働対策の報告書

厚労省から公表された今後のパートタイム労働対策の報告書 先週、厚生労働省から「今後のパートタイム労働対策に関する研究会報告書」が公表されました。この報告書は、改正パートタイム労働法が平成20年4月に施行されるにあたり、「施行から3年経過後に施行状況を踏まえ、必要に応じ、見直しに向けて検討する」とされていたことに基づき、まとめられたものです。

 具体的には「今後のパートタイム労働対策に関する研究会」において、パートタイム労働をめぐる実態と課題を整理すると共に、今後のパートタイム労働対策について検討された内容がまとめられました。この報告書によると、パートタイム労働の課題は以下の6つにまとめられています。
(1)通常の労働者との間の待遇の異同
 ①差別的取扱いの禁止(第8条)
 ②均衡待遇の確保(第9条)
(2)待遇に関する納得性の向上(第13条)
(3)教育訓練(第10条)
(4)通常の労働者への転換の推進(第12条)
(5)パートタイム労働法の実効性の確保(第16条、第21・22条)
(6)その他(税制、社会保険制度等関連制度)

 既にパートタイム労働法が施行されている中で、これらの現状や改善点が整理され、パートタイム労働者の雇用管理の改善がより一層進むために、こららの課題が分析され、論点が整理されています。

 また、社会保障・税一体改革の中でも注目を浴びている厚生年金制度および健康保険制度の適用拡大についても触れられており、年収や労働時間の調整を行う就業調整が、パートタイム労働者本人の職業能力の発揮や、待遇改善の機会を阻害するのみならず、賃金の上昇を抑制し、労働市場における賃金決定機能を歪めるものであることから、働き方に中立的な税・社会保険制度の構築を早急に図ることが必要であるとしています。

 法整備に関する具体的な内容については今後、有期労働契約のあり方とも整合を取りながら、検討が進められることになっており、継続的に注目しておきたいところでしょう。


関連blog記事
2011年5月5日「厚生労働省が発表した平成23年度の目標と重点施策」
https://roumu.com
/archives/51843565.html

2010年9月17日「今後の労働法制に多大な影響を与えることが確実な「有期労働契約研究会報告書」が公表に」
https://roumu.com
/archives/51780896.html

参考リンク
厚生労働省「「今後のパートタイム労働対策に関する研究会報告書」の公表」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001on6w.html

(宮武貴美)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。 

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。