改正高年齢者法案 平成37年3月31日まで設けられる基準制度経過措置の内容

改正高年齢者法 2012年2月27日のブログ記事「労働政策審議会 平成25年4月改正に向け、改正高年齢者法案要綱を了承」でも取り上げた高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正ですが、今回の改正では継続雇用制度の対象となる高年齢者を、事業主が労使協定で定める基準によって限定できる仕組みを廃止する取扱いがその中心となっています。しかし、この基準制度の廃止には経過措置が設けられています。本日は平成24年3月9日に国会に提出された法律案よりこの経過措置の内容について取り上げましょう。

 今回の法律案の附則には以下の経過措置が明記されています。


 この法律の施行の際、現にこの法律による改正前の第九条第二項の規定により同条第一項第二号に掲げる措置を講じたものとみなされている事業主については、同条第二項の規定は、平成37年3月31日までの間は、なおその効力を有する。この場合において、同項中「係る基準」とあるのは、この法律の施行の日から平成28年3月31日までの間については「係る基準(61歳以上の者を対象とするものに限る。)」と、同年4月1日から平成31年3月31日までの間については「係る基準(62歳以上の者を対象とするものに限る。)」と、同年4月1日から平成34年3月31日までの間については「係る基準(63歳以上の者を対象とするものに限る。)」と、同年4月1日から平成37年3月31日までの間については「係る基準(64歳以上の者を対象とするものに限る。)」とする。


 今回の法改正の狙いは雇用と年金を確実に接続させ、定年後無年金・無収入となってしまう人が出るのを防ぐことにありますので、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢の引上げにあわせ、継続雇用制度の対象となる年齢を以下のように設定しています。
平成25年4月1日~平成28年3月31日 61歳
平成28年4月1日~平成31年3月31日 62歳
平成31年4月1日~平成34年3月31日 63歳
平成34年4月1日~平成37年3月31日 64歳
平成37年4月1日~             完全施行(希望者全員の65歳までの継続雇用)

 これにより、例えば平成25年4月1日から平成28年3月31日までの3年間は61歳までは希望者全員の継続雇用が求められる一方で、それ以降は労使協定の締結による基準制度を導入ができることになります。この法案については既に閣議決定がなされており、平成25年4月の施行はほぼ確実と予想されます。実務レベルでは就業規則や労使協定の見直しが求められることとなるでしょう。


関連blog記事
2012年2月27日「労働政策審議会 平成25年4月改正に向け、改正高年齢者法案要綱を了承」
https://roumu.com
/archives/51913780.html

参考リンク
厚生労働省「厚生労働省が今国会に提出した法律案について“第180回国会(常会)提出法律案”」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/180.html
厚生労働省「公的年金の給付の種類」
http://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/01/01-04.html

(大津章敬

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