社会保険調査での指摘事項は「賞与支払届漏れ」が最多

社会保険調査での指摘事項 いよいよ来週から社会保険の定時決定(算定基礎)が始まります。この算定基礎の提出に合わせて、年金事務所の調査が行われることもあり、調査の対象となった場合には早めに準備を進めておく必要があります。今回は日本年金機構から発表された資料の中から、社会保険調査の際に多く見られる指摘事項の内容について取り上げましょう。

 今回、日本年金機構が実施した「平成22年度事業所調査」では、31年金事務所、6,033件の事業所がサンプル抽出され、集計されています。そのうち、23%の適用事業所で「届出書の提出もれ」や「届出内容の誤り」があり、指導が行われていますが、その中でもっとも「もれ」や「誤り」が多かったものは「賞与支払届出もれ」(43.6%)であり、これに続き「資格取得届関係(従業員採用時)」(36.1%)、「月額変更届出もれ」(17.8%)が続いています。
詳細の内容
【賞与支払届関係】
(1) 賞与支払届出もれ 43.6%
【資格取得届関係】(36.1%)
(2) 資格取得届出もれ(資格延長含) 19.1%
(3) 報酬月額訂正 14.0%
(4) 資格取得年月日訂正 03.0%
(5) 月額変更届出もれ 17.8%
【資格喪失届関係】(1.1%)
(6) 資格喪失年月日訂正 0.54%
(7) 資格喪失届出もれ 0.52%
【その他】(1.4%)
(8) 住所変更届出もれ 0.5%
(9) 被扶養者(異動)届出もれ 0.5%
(10) 保険者証の未回収・返戻 0.4%

 実際に調査に該当した際にもこのような点について確認が行われることとなりますので、自社においても、適正な手続きが行われているか、この機会に確認しておきましょう。


関連blog記事
2012年6月11日「支払対象期間の途中で資格取得した場合の社会保険算定基礎取り扱い」
https://roumu.com
/archives/51935263.html

2012年6月6日「日本年金機構 早くも社会保険算定基礎届の情報ページを公開」
https://roumu.com
/archives/51934468.html

2012年6月25日「社会保険の算定基礎でパートタイマーはどのように扱われますか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65565513.html
2012年6月18日「社会保険の定時決定(算定基礎)とはどのようなものですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65564446.html

参考リンク
日本年金機構「届出にあたって「もれ」や「誤り」が多い事例」
http://www.nenkin.go.jp/n/www/share/pdf/existing/pension/kiroku/pdf/more_01.pdf

(宮武貴美)

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漏れや誤りの事例は以下をクリック


1.従業員等の採用時
【事例1】被保険者資格取得年月日が試用期間、見習期間が終了した日の翌日で届け出されている。
正しい手続き:
 試用期間や見習期間は、適用除外事由に該当しません。資格取得年月日は試用期間等も含めた当初の年月日となります。
【事例2】パートタイマー、臨時雇用(短期間雇用者)従業員が被保険者として届け出されていない。
正しい手続き:
 パート等の短時間勤務者の場合、勤務時間及び勤務日数がいずれも正社員のおおむね4分の3以上の人は資格取得の届出が必要です。
【事例3】資格取得届の報酬月額が基本給のみの額で届け出されている。
正しい手続き:
 資格取得時の報酬月額は、基本給の他に、通勤手当、役職手当、扶養手当、住宅手当、超過勤務手当等の諸手当など労務の対償となるすべての報酬を含みます。
2.従業員等の退職時
【事例】資格喪失年月日が退職年月日で届け出されている。
正しい手続き:
 退職又は死亡した日の翌日が資格喪失年月日となります。
3.算定基礎届の提出
【事例】報酬月額算定基礎届の報酬月額が正しく算定されていない。
正しい手続き:
 算定基礎届の報酬月額については、4月、5月、6月に実際に支払われた給与(支払基礎日数が17日以上の月が対象)を基に計算します。
4.給与等が昇(降)給した時
【事例】給与額(基本給、住宅手当、家族手当などの固定的賃金)が大きく変動したとき、被保険者報酬月額変更届が届け出されていない。
正しい手続き:
 報酬月額変更届は次の3つの条件のすべてに該当する場合、届出が必要です。
ア) 昇(降)給など固定的賃金に変動があった
イ) 変動月以後3カ月の報酬の平均月額が従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた
ウ) 変動月以後3カ月の報酬の支払基礎日数がいずれも17日以上であった
5.賞与等が支払われた時
【事例】賞与等が支払われたときに賞与支払届が届け出されていない。
正しい手続き:
 賞与等が支払われたときには、被保険者賞与支払届総括表及び被保険者賞与支払届の届出が必要です。なお、賞与の支払いがなかった場合には、被保険者賞与支払届総
括表に「不支給」の旨の表示を行い届け出してください。
6.保険料の控除
【事例】厚生年金保険料等の保険料が給与から正しく控除されていない。
正しい手続き:
 厚生年金保険料及び健康保険料等については、各届出があった場合や保険料率の変動があった場合は、再度計算をして正しく控除してください。