高年齢者の働き方や賃金 5割超の企業が見直しを検討中
先日、高齢・障害・求職者雇用支援機構から、機構に設置された「70歳まで働ける企業」基盤作り推進委員会が実施したアンケート調査・ヒアリング調査の報告書が発表されました。この調査は、70歳雇用の基盤となる60歳代前半層の活用戦略と賃金管理について行われたものですが、この調査によると、年金の支給開始年齢の段階的な引上げに伴って、高齢期の働き方や賃金の見直しに関しては以下のような結果となっています。
□見直しを行った 13.5%
□現在、検討中である 10.9%
□検討する予定である 39.9%
□対策の必要性を感じていない 32%
次に、継続雇用者の基本給の決め方については、以下の通りとなっており、多くの企業が何らかの見直しを行っていることが分かります。
□60歳(定年)以前の正社員と異なる 67.2%
□60歳(定年)以前の正社員とやや異なる 13.9%
その上で、見直しの決定要素については、以下のように定年前の賃金水準や職能資格・職位をもとに決める割合が高くなっています。
□60歳(定年)時の賃金額 47.0%
□60歳(定年)時点の職能資格や職位 44.5%
□能力 42.7%
□仕事の内容・難易度 41.5%
これに対し、この委員会では今後の賃金制度について以下の提言を行っています。
継続雇用者を活用して処遇するには、現役社員と異なり、「いまの能力を、いま活用して、いま支払う」短期決済型の社員であると位置づけ、活用施策に関わらず「仕事と成果に基づく賃金制度」を採用すること。
納得性の高い賃金制度とするためには、「賃金を(継続雇用期の)仕事と成果で決める」という決定方法と「定年時の状況に配慮する」という決定方法の調和を図ることが重要であるが、今後は、現役社員と高齢社員をあわせた社員全体の人事制度のなかで高齢者の人事制度も考える必要がある。このときの現役社員の高齢期の賃金制度は、「仕事と成果に基づく賃金制度」にすること。
現在、高年齢者雇用安定法が国会で審議されており、平成25年4月1日からの施行が有力視されていますが、改正法が成立し、施行が決定した際には、これら高齢者の処遇に関する見直しも更に進むことが予想されます。いまのうちから自社の現状の制度における見直しのポイントを把握しておきたいものです。
関連blog記事
2012年2月27日「労働政策審議会 平成25年4月改正に向け、改正高年齢者法案要綱を了承」
https://roumu.com
/archives/51913780.html
参考リンク
高齢・障害・求職者雇用支援機構「継続雇用者の賃金は、「仕事と成果」で~『「70歳まで働ける企業」基盤作り推進委員会報告書』の刊行について~」
http://www.jeed.or.jp/news/download/news_136.pdf
(宮武貴美)
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