[改正派遣法(2)]早急な対策が求められるグループ内企業派遣の規制強化
改正労働者派遣法特集の第2回は、事業規制強化の2つ目として、グループ企業内派遣の強化について取り上げましょう。労働者派遣法では、改正前から専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的とするものでないことが求められていました。例えば、子会社である派遣会社が、その親会社やグループ会社にだけ専ら派遣をすることを禁止し、専ら派遣が行われている場合には、派遣元に勧告することができることとしていました。
今回の法改正では、「関係派遣先への労働者派遣の制限」としてこれをより明確に規制し、関係派遣先への派遣割合の報告を義務化しています。そして、関係派遣先への派遣割合を100分の80以下になるように法律で義務付けています。この関係派遣先とは、厚生労働省令で定められることとなっており、現在、以下の範囲になることが予定されています。
派遣元事業主が連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則第2条第4号に規定する連結子会社(以下単に「連結子会社」という。)である場合にあっては、当該派遣元事業主の親会社及び当該親会社の連結子会社
派遣元事業主が連結子会社でない場合にあっては、当該派遣元事業主の親会社等(当該派遣元事業主の議決権の過半数を所有している者、当該派遣元事業主の資本金の過半数を出資している者又は当該派遣元事業主の事業の方針の決定に関してこれらの者と同等以上の支配力を有すると認められる者をいう。以下同じ。)及び当該派遣元事業主の親会社等の子会社等(当該派遣元事業主の親会社等が議決権の過半数を所有している者、当該派遣元事業主の親会社等が資本金の過半数を出資している者又は事業の方針の決定に関する当該派遣元事業主の親会社等の支配力がこれらの者と同等以上と認められる者をいう。)
また100分の80以下を確認する計算については、一の事業年度における派遣元事業主が雇用する派遣労働者(60歳以上の定年退職者を除く。)の関係派遣先に係る派遣就業に係る総労働時間を、その事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者のすべての派遣就業に係る総労働時間で除して得る(当該割合に小数点以下1位未満の端数があるときは、これを切り捨てる)予定となっています。
これまでも専ら派遣の問題に関しては、派遣先の確保のための努力が客観的に認められるような場合には、実態として大きな問題にはなりませんでしたが、今後は違反に対し、指導または助言を行い、それでもなお違反が認められるときには必要な措置をとるべきことを指示することができると法律に明文化しました。関連会社を中心に派遣事業を行っている派遣会社も少なくありません。事業規制が強化される中で、関係派遣先以外への派遣労働者を増やすことも容易ではなく、M&Aなどの対応が求められる派遣会社もあるでしょう。
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関連blog記事
2012年8月6日「[改正派遣法(1)]日雇派遣の原則禁止と例外となる労働者」
https://roumu.com
/archives/51946238.html
参考リンク
厚生労働省「労働者派遣事業・職業紹介事業等」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/
(宮武貴美)
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