中国人事管理の先を読む!第63回「ベースアップと昇給(2)」

中国人事管理の先を読む! 多くの日系企業の日本人管理者の方から、「新しく従業員を採用しようと思っているのですが、本人が希望する給与が当社の賃金水準に合わないのです。希望給与で採用すると、いまいる従業員と逆転現象が起こってしまうし…」というお話をよく耳にします。

 この状況は3つの理由が考えられます。まず、応募者自身が給与を高めに見積もっていること。言ってみれば吹っかけているということですね。これは論ずるに値しないのでさて置き、二番目に考えられるのが中国独特の労働市場と賃金制度に起因することです。中国では職務別の賃金差が非常に大きく、労働市場の中で特定の職務だけが突出して賃金水準が高くなることがあります。例えば、製造業で言うなら、金型の技術者に対する需要が増える、しかし市場にはそれを満たすだけの技術者がいないということになれば、当然金型技術者の賃金は上昇します。このように職務別の賃金水準、相場に企業の制度が対応できていなければ、賃金のミスマッチが起こり、新規採用者と既存従業員の賃金バランスが悪くなってしまいます。

 三番目の理由がベースアップです。実際私が知っている企業も中国へ進出当初は業界水準や地域相場を調べ、従業員の賃金設定を行い、上位25%程度の位置で賃金設定を行いましたが、その後何年もベースアップを十分に行って来なかったため、5年ぶりに賃金サーベイを行ってみると、50%の中間値を割っていたという事例があります。そうなると人材確保に関する競争力が低下し、よい人材が採用できないどころか、既存社員の流出まで招いてしまう結果になってしまいます。このようなことを考えても、賃金管理におけるベースアップがいかに重要かお分かりいただけるかと思います。

 何度も申し上げますが、賃金管理にはそれなりに論理的な運用が必要です。「当社は毎年10%昇給させているから問題ない」ということではないのです。その10%の原資をどのように使っているかが重要なのです。「今年の上半期CPIはどの程度か」「業界での賃金水準に対してわが社のポジションはどの位置か」「わが社は業界水準から少し下がり気味だから、今年はベースアップに少し多めに原資を使おう」、このように昇給というものをタカが給与を上げることと考えず、人材戦略の重要な要素のひとつとして捉えていく必要があるのです。


関連blog記事
2013年6月29日「中国人事管理の先を読む!第62回「ベースアップと昇給(1)」」
https://roumu.com
/archives/51998491.html

参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about

(清原学)

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