今春の改正高年齢者法で人事制度を見直した企業は36.1%

今春の改正高年齢者法で人事制度を見直した企業は36.1% 先日、東京経営者協会から「高年齢者雇用安定法改正への対応に関するアンケート調査」の結果が発表されました。この調査は、今年の4月に改正高年齢者雇用安定法が施行されたことに伴い、企業の法改正への対応状況や高年齢者雇用に関する制度の見直し内容などについて行われたものです。その結果としては、以下の3つのポイントにまとめられています。
ポイント1
今回の法改正に伴い定年制の見直しや定年年齢を変更した企業は少数
・回答企業すべてに定年制があり、約97%が定年年齢を「60歳」。
・4月1日の高齢法の改正にあわせ「定年年齢を変更した」企業は2社、うち1社は65歳までの選択定年制を導入。「今後変更予定」は3社。
・97%が「再雇用制度」を導入しており、上限年齢を定めている企業の内1社を除いたすべてで「65歳」としている。
ポイント2
3分の2が対象者基準による経過措置で対応、2割が希望者全員へ変更
・今回の高齢法改正で継続雇用者の対象者基準の仕組みが廃止されたことに関し、58.6%が「3月31日以前から対象者基準があり、今後も経過措置の範囲内で対象者基準を運用」、7.3%が「これまでは対象者基準を定めず希望者全員としていたが、3月31日までに労使協定により対象者を限定する基準を定め、4月1日以降は経過措置の範囲内で運用する」と回答。約3分の2の企業が対象者基準による経過措置を適用する。
・約2割の企業が「対象者基準に適合する者を対象としていたが、高齢法の改正に合わせ、希望者全員」に変更。
ポイント3
人事制度等の見直し実施企業は36.1%。「継続雇用者の評価制度導入」や「新たな賃金テーブル設置」などで対応
・人事制度等の「これまでの対応を見直した」企業は36%にとどまり、63.9%が「特に見直しはしていない」と回答。
・人事制度等の見直しをした場合、約8割が「継続雇用者の処遇水準や評価制度等の見直し」を実施。具体的な見直しの内容として、31%の企業が「継続雇用者を対象とした評価制度の新たな導入」を行っている。
・「定年到達時の賃金と比べ賃金水準を引き上げた」または「賃金水準を引き下げた」とする企業や「報酬比例部分の相当額を補てんした」企業も見られる。
・その他の回答の中には、これまでは再雇用の対象とならなかった者も含まれるような従来より低い「新たな賃金テーブルを設置」した企業も4社あった。

 人事制度の見直しはしていないという企業は63.9%にのぼり、年金が支給されなくなったことと、賃金の引き上げはなかなか連動していないようです。単純に高年齢者の賃金を引き上げることは難しく、60歳未満の従業員とのバランスやそもそも高年齢者にどのような職務を担ってもらうのかなど、今後、検討していかなければならないことはたくさんありそうです。


関連blog記事
2013年8月29日「34.7%が個人ごとに異なる決め方をすると回答した60歳代前半層の賃金」
https://roumu.com
/archives/52006931.html

参考リンク
東京経営者協会「高年齢者雇用安定法改正への対応に関するアンケート調査」結果
http://www.tokyokeikyo.jp/cgi-bin/user/event_contents.cgi?cnt=52&category=research

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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