労契法無期転換ルール 高度専門労働者と高齢者の特例が設定へ

県議 昨年4月施行の労働契約法改正において設けられた有期労働契約の無期転換ルールですが、様々な問題が指摘される中、先日、厚生労働省の労働政策審議会は、厚生労働大臣に対し、その特例等について建議を行いました。そのポイントは以下のとおりとなっています。
[特例の対象となる労働者]
一定の期間内に完了する業務に従事する高収入かつ高度な専門的知識、技術または経験を有する有期契約労働者
※対象者の範囲や年収などの具体的な要件については、法案成立後改めて労働政策審議会において検討
定年後に同一の事業主またはこの事業主と一体となって高齢者の雇用の機会を確保する事業主(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律における「特殊関係事業主」)に引き続いて雇用される高齢者

[特例の対象となる事業主]
 対象労働者に応じた適切な雇用管理の実施に関する基本的な指針を策定した上で、この指針に沿った対応を取ることができると厚生労働大臣が認定した事業主

[特例の具体的な内容]
の労働者
 企業内の期間限定プロジェクトが完了するまでの期間は無期転換申込権が発生しないこと(上限は10年)
の労働者
 定年後に同一事業主または特殊関係事業主に引き続いて雇用されている期間は、通算契約期間に算入しないこと

[労働契約が適切に行われるために必要な具体的な措置]
 事業主は、労働契約の締結・更新時に特例の対象となる労働者に対して無期転換申込権発生までの期間などを書面で明示する仕組みとすること

 厚生労働省は、この建議の内容を踏まえ、平成26年通常国会への法案提出に向け、法律案要綱を作成し、労働政策審議会に諮問する予定としています。継続雇用者については無期転換ルールが65歳以降の雇用にマイナスの影響を与えていただけに、待ちわびた特例となります。もっとも今回の特例の議論がこのように限定的なものに止まったことにより、今後多くの企業で有期労働契約者の雇用管理の見直しが進められることになるでしょう。


関連blog記事
2014年2月5日「労働契約法 高度専門労働者と高齢者について無期転換ルール特例設定の議論がスタート 」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/36105183.html
2013年12月20日「労契法無期労働契約への転換 大学教員等は特例で5年が10年に延長」
https://roumu.com
/archives/52020279.html

参考リンク
厚生労働省「労働政策審議会建議「有期労働契約の無期転換ルールの特例等について」を公表します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000037303.html

(大津章敬)
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/

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