遂にスタートした60時間超「割増率5割」の中小企業猶予の見直し議論

時間 平成22年4月に施行された改正労働基準法において、1ヶ月60時間を超える時間外労働について法定割増賃金率が、25%から50%に引き上げられるという大きな改正が行われました。ただし、この適用について中小企業は当分の間、猶予されることとなっており、「この中小事業主に対する猶予措置については、改正法の施行後3年を経過した場合において検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」と附則に明記されていました。しかし、3年が経過した平成25年4月にはこの猶予措置の見直しは行われませんでしたが、遂にその議論がスタートしました。

 今週火曜日(2014年2月25日)に開催された第109回労働政策審議会労働条件分科会では、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案と共に、労働時間法制に関し、以下の論点について労働者側・使用者側・公益側からの意見が示されています。
長時間労働抑制・過重労働対策について
・中小企業に適用猶予されている月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率
・法定時間外労働の割増賃金率の水準
・労働時間の量的上限規制、勤務間インターバル(休息)
・年次有給休暇の取得促進
・法定労働時間に関する特例事業場(週44時間)
弾力的労働時間制度について
・企画業務型裁量労働制
・一部の事務職、研究職等に適した労働時間制度
・フレックスタイム制
・その他・議論の進め方
  事業場外みなし労働時間制
  休憩時間の一斉付与
  専門業務型裁量労働制
  特別条項付36 協定の運用基準

 まだまだ各委員が意見を提出したという段階ですが、昨年9月27日に開催された第103回労働政策審議会労働条件分科会では「閣議決定上、総合的な労働時間の議論に関しまして、1年を目途に結論を得るということにされているところです」との発言があったことを考えると、今年の夏から秋に向け、こうした各論点に関する方向性が示されることになりそうです。中でも割増率の中小企業への適用猶予の見直しや労働時間の量的規制、企画業務型裁量労働制の規制緩和、事業場外みなし労働制の運用見直しなどについては実務への影響も大きいと予想されますので、今後も労働政策審議会の議論については注目していきたいと思います。


関連blog記事
2013年11月12日「中小企業の猶予措置廃止が今後検討される月60時間超の法定割増賃金率引き上げ」
https://roumu.com
/archives/52015954.html

参考リンク
厚生労働省「第109回労働政策審議会労働条件分科会資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000038191.html

(大津章敬)
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/

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