2ヶ所から賃金を受け取る場合、高年齢雇用継続給付はどの額を基準に考えるのか
現在では、通常60歳からすぐに老齢年金が受給できないことや、それに伴い改正高年齢者雇用安定法が施行されたことにより、60歳以降も働き続ける人は確実に増加しています。その際、60歳以降は賃金が減額されるケースも多くあり、雇用保険の高年齢雇用継続給付を受給する労働者も多くいるでしょう。
このように高年齢雇用継続給付を受給しながら働くケースで、最近よく耳にするようになった疑問に「複数(2ヶ所以上)の事業所から賃金が払われている場合で、高年齢雇用継続給付を受給できる資格がある場合、高年齢雇用継続給付は、どの額を基準に考えればよいのか」というものがあります。この点については、厚生労働省から「2ヶ所以上から賃金が支払われている場合(出向以外の場合)」という疑義解釈がされています。結論としては、雇用保険の被保険者資格がある雇用関係に基づく賃金で判断(給付額の算出)がされることが示されています。具体的には以下の通りです。
原則として、被保険者資格を有する雇用関係に基づく賃金により判断すること。高年齢雇用継続給付は、賃金の低下を理由として雇用の継続を図ることができなくなることを防止するための給付であるため、原則として、被保険者資格を有する雇用関係に基づく賃金により判断すべきものである。したがって、仮に当該労働者が、他の雇用関係にあり賃金を得ていた場合であっても、その理由は様々であることから、これらの賃金も含めて高年齢雇用継続給付の支給要件を判断することは妥当でないと考えられること。
ただし、これは出向以外の取扱いとなっており、出向者については取扱いが異なるため、注意が必要です。
関連blog記事
2013年9月19日「法改正に向けて今後議論される雇用保険法の方向性」
https://roumu.com
/archives/52009552.html
(宮武貴美)
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