改正パート労働法(2)正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大~職務の内容および配置の変更の考え方
改正パートタイム労働法に関する詳細の連載第2回目は、「正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大」(法第9条)に関して取り上げましょう。
前回記事はこちら
2014年8月12日「改正パート労働法(1)短時間労働者の待遇の原則~不合理な待遇相違の禁止」
https://roumu.com
/archives/52045437.html
この法第9条は、改正前は第8条に置かれていた条文であり、改正後に「短時間労働者の待遇の原則」が第8条となったことに伴い、第9条へ繰下げられ、「無期労働契約を締結しているパートタイム労働者であること」が削除されました。これにより、職務内容が正社員と同一、人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一、という2つの要件を満たしたパートタイム労働者について正社員と差別的取扱いが禁止されることになります。
この際によく問題となることの一つに、職務の内容および配置の変更をどの期間で考えるかということがありますが、通達では、「将来にわたって通常の労働者と同じように変化するかについて判断する」としており、「ある一時点において短時間労働者と通常の労働者が従事する職務が同じかどうかだけでなく、長期的な人材活用の仕組み、運用等についてもその同一性を判断する必要があるため」とその根拠を示しています。この考え方は改正前から変更がなく、改めて、自社における正社員とパートタイム労働者の活用の仕組みを整理しておくべきことがわかります。
また、今回の改正で、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者も対象となりますが、「期間の定めのある労働契約を締結している者の場合にあっては、労働契約が更新されることが未定の段階であっても、更新をした場合にはどのような扱いがされるかということを含めて判断される」としているため、契約更新を行うかが不明であるといった理由は示せないことになります。正社員とパートタイム労働者の職務の範囲の明確化がより重要になってくることとなります。
なお、「待遇の取扱いが同じであっても、個々の労働者について査定や業績評価等を行うに当たり、意欲、能力、経験、成果等を勘案することにより個々の労働者の賃金水準が異なることは、通常の労働者間であっても生じうることであって問題とはならないが、当然、当該査定や業績評価は客観的に行われるべきであること」ともしています。正社員とパートタイム労働者の職務内容および人材活用の仕組みが同一と判断する場合には、査定や業績評価制度も導入し、労働者個別の評価を考えていくことも重要になってくることでしょう。
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2014年8月12日「改正パート労働法(1)短時間労働者の待遇の原則~不合理な待遇相違の禁止」
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参考リンク
厚生労働省「パートタイム労働法の改正について」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1o.html
法令等データベース「「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律の施行について」(平成26年7月24日基発0724第2号)」
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T140728N0010.pdf
(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/
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