改正パート労働法(1)短時間労働者の待遇の原則~不合理な待遇相違の禁止

パート労働法 改正パートタイム労働法は、2014年7月10日のブログ記事「改正パートタイム労働法の施行日は平成27年4月1日で決定」でご案内したように、施行日が来年4月1日に決まりました。これに合わせて省令・告示の改正も公告され、また7月24日には、通達「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律の施行について」(平成26年7月24日基発0724第2号)が発出されました。この通達についても大幅に変更されているので、本日から数回に亘り、変更点を重点的に確認しておきましょう。

 まず今回の改正では、第8条として、「短時間労働者の待遇の原則」が第8条として新設されました。ここでは、事業主が雇用するパートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合には、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないとする、広くすべてのパートタイム労働者を対象とした待遇の原則が規定されました。

 ここでよく誤解されることとして、正社員とパートタイム労働者の待遇を一致させる必要があるのかということがありますが、ポイントとなることとしては、パートタイム労働者と正社員との間で待遇の相違があることが直ちに不合理とされるものではないということです。仮に相違がある場合には、その待遇の相違が、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるかどうかを判断する必要があります。通達においてもこれを明確に記載しています。

 なお、「待遇」には、すべての賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用のほか、休憩、休日、休暇、安全衛生、災害補償、解雇等労働時間以外のすべての待遇が含まれることとされているため、例えばパートタイム労働者は正社員が利用できる福利厚生施設を利用できないといった事実があるのであれば、その相違を合理的であるといえるような理由がなくてはなりません。

 今後はそのような相違がある場合には、その理由を明確にし、理由が明確にならないのであれば、相違をなくすといったことが実務上は求められてきます。細かな相違が問題にならないように、まずは相違があるかを確認しておくことから始めることが必要なのかもしれません。


関連blog記事
2014年7月29日「パートタイマーへ交付する労働条件の様式変更等が定められたパートタイム労働法の省令・指針の改正」
https://roumu.com
/archives/52044128.html

2014年7月18日「改正パートタイム労働法に合わせて改定される省令・告示の内容」
https://roumu.com
/archives/52042847.html

2014年7月10日「改正パートタイム労働法の施行日は平成27年4月1日で決定」
https://roumu.com
/archives/52042018.html

2014年5月8日「差別的取扱いの禁止を拡大する改正パートタイム労働法の内容」
https://roumu.com
/archives/52034912.html

2014年4月24日「パートタイム労働法が変わります!」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51314980.html

参考リンク
法令等データベース「「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律の施行について」(平成26年7月24日基発0724第2号)」
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T140728N0010.pdf

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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