少しづつ見えてきた労政審での労働時間法制議論のポイント
ホワイトカラーエグゼンプションの導入など大きな話題を呼んでいる労働時間法制改革ですが、現在、2016年4月の改正に向け、労働政策審議会での議論が進められています。労使の対立が大きく、今後の行方は不透明な状況にありますが、先日開催された第115回労働政策審議会労働条件分科会の資料を見ると、現在行われている議論の内容が少しづつ見えてきます。
具体的には、年明けに始まる次期通常国会を目途に所要の法的措置の調査審議を進めるとしています。
長時間労働抑制策・年次有給休暇の取得促進策について
(1)長時間労働抑制策
・中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の在り方(平成20年労働基準法改正法附則第3条)
・時間外労働の限度の在り方 等
(2)年次有給休暇の取得促進策
(3)その他
・労働時間等設定改善法の活用 等
フレックスタイム制について
・清算期間の延長
・清算の際の事後的な年休取得
・完全週休2日制の場合における月の法定労働時間の特例
裁量労働制の新たな枠組みについて
・対象業務
・健康確保等のための措置
・手続の見直し
新たな労働時間制度について
・法的効果
・手続
・対象業務(時間ではなく成果で評価される働き方)
・対象労働者(一定の年収要件(例えば少なくとも年収1000 万円以上)、職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者)
・健康確保等のための措置
その他
このように見ると、ホワイトカラーエグゼンプションは議論のほんの一部でしかなく、幅広い改正が予定されていることがよく分かります。過重労働対策として議論されていた総量規制や勤務間インターバル制度については、この書面から消えていますが、労働者代表委員が提出した資料「労働者代表委員として実現すべきと考える主な施策」の中には記載されていますので、まだ継続的に議論が進められるのだと思われます。
仮に以上のような内容が成立するとすれば、企業の労働時間管理にはかなり大きな影響が出てくることになります。労務ドットコムでは今後もこのテーマについて最新情報を提供していきますので、ご期待ください。
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http://www.obc.co.jp/f2014/
関連blog記事
2014年6月25日「遂に閣議決定された安部内閣の新成長戦略 労働時間制度改革はどうなる?」
https://roumu.com
/archives/52040425.html
2014年6月19日「産業競争力会議で示された「日本再興戦略」の改訂について」(素案)に見られる労働時間制度改革の論点」
https://roumu.com
/archives/52039791.html
2014年5月29日「大きな注目を集める産業競争力会議で示された労働時間制度改革の概要」
https://roumu.com
/archives/cat_1090225.html
参考リンク
厚生労働省「第115回労働政策審議会労働条件分科会資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000057481.html
(大津章敬)
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/
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