最高裁判決を受けて改正された均等法・育介法の不利益取扱い禁止等に関する通達
2014年10月27日のブログ記事「話題のマタハラ最高裁判決の判決文を読むことができます」では、2014年10月23日に最高裁で言い渡されたマタハラ裁判について取り上げました。この判決は大いに話題となり、「マタハラ」という言葉が新聞各紙に溢れることとなりました。この重要判例を受け、先週、厚生労働省は新たな通達を発出しました。
男女雇用機会均等法、育児・介護休業法では、妊娠・出産、育児休業等を理由として不利益取扱いを行うことを禁止しています。これは、法律のみではなく、両法律において通達を発出しその解釈を確認しているところです。今回の通達では、改正ではこの解釈通達が改正されました。内容は、最高裁判決に沿って、妊娠・出産、育児休業等を「契機として」なされた不利益取扱いは、原則として法が禁止する妊娠・出産、育児休業等を「理由として」行った不利益取扱いと解されるということを明確化するというもので、以下の通りとなっています。
妊娠・出産、育児休業等を「契機として」不利益取扱いを行った場合、原則として男女雇用機会均等法、育児・介護休業法に違反(妊娠・出産、育児休業等を「理由として」不利益取扱いを行ったと解される)する。ただし、例外として、以下の場合には、違反には当たらない。なお、「契機として」とは基本的に時間的に近接しているか否かで判断することになっています。
【例外1】
業務上の必要性から支障があるため当該不利益取扱いを行わざるを得ない場合において、その業務上の必要性の内容や程度が、法の規定の趣旨に実質的に反しないものと認められるほどに、当該不利益取扱いにより受ける影響の内容や程度を上回ると認められる特段の事情が存在するとき
【例外2】
契機とした事由又は当該取扱いにより受ける有利な影響が存在し、かつ、当該労働者が当該取扱いに同意している場合において、有利な影響の内容や程度が当該取扱いによる不利な影響の内容や程度を上回り、事業主から適切に説明がなされる等、一般的な労働者であれば同意するような合理的な理由が客観的に存在するとき
明確な基準を示すことは難しく、抽象的な表現にはなっていますが、個々の事案で業務上の必要性等を見て、個別に判断していかなければならないことがよくわかります。今後、実務面で大きな問題になるケースが増加すると思われますので、この通達をしっかりと理解した上で、より慎重な対応が求められます。
関連blog記事
2014年10月27日「話題のマタハラ最高裁判決の判決文を読むことができます」
https://roumu.com
/archives/52053921.html
参考リンク
厚生労働省「雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/danjokintou/index.html
(宮武貴美)
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