注目のストレスチェック制度 具体的な運用を定めた省令、告示、指針が公表

注目のストレスチェック制度 いよいよ今年12月より注目のストレスチェック制度がスタート(従業員数50人未満の事業場については当分の間努力義務)します。2015年3月30日のブログ記事「省令案が示された2015年12月スタートのストレスチェック制度」では、省令案のポイントをとり上げましたが、今週水曜日にこの具体的な運用方法を定めた指針が公表されました。そこで以下では実務への影響が予想される事項を中心にとり上げましょう。
ストレスチェックの実施方法など
(1)ストレスチェックに用いる調査票
 事業者の判断により選択することができるものとするが、「職業性ストレス簡易調査票」(57項目)を用いることが望ましい。
(2)高ストレス者の選定方法
 次の1)または2)のいずれかの要件を満たす者を高ストレス者として選定するものとする。この場合において、具体的な選定基準は、ストレスチェックを実施した医師等(以下、「実施者」という)の意見及び衛生委員会等での調査審議を踏まえて、事業者が決定するものとする。
1)調査票のうち、「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数の合計が高い者
2)調査票のうち、「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数の合計が一定以上の者であって、かつ、「職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目」及び「職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目」の評価点数の合計が著しく高い者
(3)健康診断と同時に実施する場合の留意事項
 ストレスチェック及び法第66 条第1項の規定による健康診断の自覚症状及び他覚症状の有無の検査を同時に実施することができるものとする。
面接指導の実施方法
 事業者は、実施者からストレスチェックを受けた労働者のリストを入手する等の方法により、労働者の受検の有無を把握し、ストレスチェックを受けていない労働者に対して、ストレスチェックの受検を勧奨することができるものとする。
ストレスチェック結果の記録及び保存
 ストレスチェック結果の事業者への提供について、労働者から同意を得て、実施者からその結果の提供を受けた場合は、事業者は、ストレスチェック結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。労働者の同意が得られていない場合、事業者は、実施者によるストレスチェック結果の記録の作成及び当該実施者を含む実施事務従事者による当該記録の保存が適切に行われるよう、記録の保存場所の指定、保存期間の設定及びセキュリティの確保等必要な措置を講じなければならない。
労働者に対する不利益な取扱いの防止
 ストレスチェックを受けないこと、結果の提供に同意しないこと、または面接指導の申し出を行わないことを理由とした不利益取扱いを行ってはならない。この不利益な取扱いの例として、ストレスチェックを受けない労働者に対して、懲戒処分を行うことが挙げられている。
労働者の健康情報の保護
 ストレスチェックの実施前または実施時に、事業者への結果提供に関する労働者の同意を取得してはならないとし、結果通知後に個別に同意を取得しなければならない。同意を取得する場合は次に掲げるいずれかの方法によらなければならないものとする。
1)ストレスチェックを受けた労働者に対して当該ストレスチェックの結果を通知した後に、事業者、実施者又はその他の実施事務従事者が、ストレスチェックを受けた労働者に対して、個別に同意の有無を確認する方法
2)ストレスチェックを受けた労働者に対して当該ストレスチェックの結果を通知した後に、実施者又はその他の実施事務従事者が、高ストレス者として選定され、面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者に対して、当該労働者が面接指導の対象であることを他の労働者に把握されないような方法で、個別に同意の有無を確認する方法

 なお、ストレスチェックを受けた労働者が、事業者に対して面接指導の申出を行った場合には、その申出をもってストレスチェック結果の事業者への提供に同意がなされたものとみなして差し支えない。

 上記ストレスチェック結果の事業者への提供については、労働者の同意の取得は書面またはメールなどの磁気的記録で行うことになっており、企業としては今後、このストレスチェックをどのような体制で実施していくかを検討するとともに、ストレスチェック結果の取得同意書や面接指導申出書といったの様式等も準備しておく必要がでてきます。 またこのストレスチェックを実施後には、「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を所轄労働基準監督署に提出することになっていますので、届出が必要な書類としてピックアップしておきましょう。なお、実際の省令、告示、指針については以下をご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000082587.html


関連blog記事
2015年3月30日「省令案が示された2015年12月スタートのストレスチェック制度」
https://roumu.com
/archives/52068952.html

2014年12月18日「注目のストレスチェック 遂に公表された厚生労働省報告書の概要」
https://roumu.com
/archives/52059143.html

参考リンク
厚生労働省 「改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」の具体的な運用方法を定めた省令、告示、指針を公表します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000082587.html

(福間みゆき)

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