パワハラ通達改正 求められるパワハラの定義・類型の周知啓発

パワハラ通達改正 職場のパワーハラスメント(以下、パワハラという)対策については、平成24年9月10日付け地発0910 第5号、基発0910 第3号「職場のパワーハラスメント対策の推進について」(以下、通達という)に基づいて取組みが行われていますが、先日、この通達が改正されました。

 今回の改正には、総合労働相談コーナーへの相談件数が増加を続ける等、パワハラが社会問題として顕在化しており、精神障害の労災補償状況においても、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」ことによる支給決定件数が増加しているといった状況が背景にあります。その一方で、約半数の企業がパワハラの予防・解決のための取組みを行っておらず、特に100名未満の企業においては、8割以上は何ら取組みが行われていないことが明らかとなっています。

 そのため、厚労省では、通達の一部を以下のように改正し、職場のパワハラ対策をより一層推進するとしていますが、主な改正点は以下のとおりとなります。
【追加】
第1 職場のパワーハラスメント対策を進めるに当たっての基本的な考え方
2 行政の取組について
 特に、提言で示された職場のパワーハラスメントの定義及び類型については、企業内で予防・解決に取り組む際に、ある事案がパワーハラスメントに該当するかを企業が判断する際に非常に有効であるため、積極的かつ効果的な周知啓発を行うことが必要である。
【変更】
改正前:(2) 職場のパワーハラスメントの概念について
      (略)
改正後:(2) 職場のパワーハラスメントの定義について
      (略)
【新設】
(3) 職場のパワーハラスメントの行為類型について
 職場のパワーハラスメントの行為類型には、「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」の6つが挙げられる。これらは、ある事案がパワーハラスメントに該当するかを企業が判断する際に非常に有効であるため、積極的かつ効果的な周知啓発を行うことが必要である。なお、これらの6行為類型は職場のパワーハラスメントに当たりうる行為のすべてを網羅するものではなく、これら以外は問題ないということではないことも、必要に応じて教示されたい。
【新設】
第3 周知啓発のための対応
1 本省での対応
(4) パワーハラスメント対策導入マニュアルの周知
 企業がパワーハラスメント対策を導入する際に参考となる「パワーハラスメント対策導入マニュアル ~予防から事後対応までのサポートガイド~」を都道府県労働局、労働基準監督署、労使団体等に配布する。

 今後、労働局ではパワハラ対策を強化していくことが予想されます。企業としては、厚生労働省が提供している「パワーハラスメント対策導入マニュアル~予防から事後対応までサポートガイド~」を活用しながら、具体的な対策を行いたいものです。
パワーハラスメント対策導入マニュアルのダウンロードはこちらから
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51359893.html


関連blog記事
2015年5月18日「内容充実の厚労省制作「パワハラ対策導入マニュアル」ダウンロード開始」
https://roumu.com
/archives/52073740.html

参考リンク
「職場のパワーハラスメント対策の推進について」の一部改正について(地発0604第1号 基発0604第3号 平成27年6月4日)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T150608K0020.pdf
新旧対照表 平成24年9月10日付け地発0910第5号、基発0910第3号「職場のパワーハラスメント対策の推進について」(抄)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T150608K0021.pdf
厚生労働省「パワーハラスメント対策導入マニュアル」
http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/download

(福間みゆき)

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