人事労務担当者も押さえておきたい国税庁の質疑応答事例で示された最新情報

所得税 いよいよ12月が目前に近づいてきました。総務担当者は、年末調整の処理に追われている頃かと思いますが、そのような中、国税庁から公開されている「質疑応答事例」が更新されました。

 この質疑応答事例は、納税者から国税庁に対し照会があった事項について、国税庁から回答した事例等のうち、他の納税者にも参考となるものを集めたもので、ホームページに掲載されています。今回は、以下のようなものの追加され、更新となりました。直接的に年末調整に関係するものではありませんが、確認しておくとよいでしょう。なお、事例の中には、2010年11月19日のブログ記事「未払い残業代を精算支給した場合の所得税の取り扱い」でも取り上げた内容も掲載されています。

■講習会の出席費用の負担
・照会要旨
 A社は、雇用を通じて少年院出院者等の改善更生を助ける協力雇用主として、少年院出院者等を雇用していますが、接遇やマナー、社会教養を身につけることは、顧客や取引先、あるいは社内において円滑な関係を構築し、ひいては、長期的な就労に資すると考えられることから、今般、これらの者に接遇・マナー・社会教養に関する講座を受講させることとしました。この接遇・マナー・社会教養に関する講座の受講料を会社が負担した場合、その従業員に対する給与等として課税すべきですか。

・回答要旨
 給与等として課税しなくて差し支えありません。使用人本人が負担すべき費用を会社が負担した場合には、その使用人に対して費用相当額の給与等が支払われたものとして課税する必要があります。しかしながら、お尋ねのように、使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、使用人にその使用人としての職務に直接必要な知識を習得させるための研修会、講習会等の出席費用等に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、給与等として課税しなくて差し支えありません。

■姉の子供の医療費を支払った場合
・照会要旨
 姉の子供の医療費を支払った場合は、医療費控除の対象になりますか。

・回答要旨
 姉の子供と生計を一にしていれば、医療費控除の対象となります。医療費控除は、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払った場合に適用されることとされています(所得税法第73条第1項)。この場合の「親族」とは、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族をいいます(民法第725条)。したがって、姉の子供は自己の親族(3親等の血族)に当たることから、生計を一にするなど他の医療費控除の要件を満たすときは、医療費控除の対象となります。

■父親の控除対象配偶者である母親の医療費を子供が負担した場合
・照会要旨
 父親の控除対象配偶者である母親の医療費を子供が負担した場合は、その子供が当該医療費について医療費控除の適用を受けることができますか。

・回答要旨
 母親と子供が生計を一にしている場合は、医療費を実際に支払った子供の医療費控除の対象となります。医療費控除は、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払った場合に適用することとされており(所得税法第73条第1項)、その親族が自己の控除対象配偶者や控除対象扶養親族であるかどうかは問わないこととされています。したがって、母親と子供が生計を一にしているのであれば、子供が支払った母親の医療費は、その子供の医療費控除の対象となります。


関連blog記事
2010年11月19日「未払い残業代を精算支給した場合の所得税の取り扱い」
https://roumu.com
/archives/51800160.html

参考リンク
国税庁「質疑応答事例」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/01.htm

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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